秋も深まり、キャリアの見直しや転職を考える人が増える季節となりました。安定した職業として注目を集める国家公務員ですが、その待遇について気になる方も多いのではないでしょうか。

内閣官房内閣人事局が2025年6月30日に発表した「令和7年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」のデータによると、2025年夏季の国家公務員ボーナスは平均で約70万6700円でした。

前年比で7.2%の増加を記録し、その安定性が改めて注目されています。
 

国家公務員の2025年・夏のボーナス

国家公務員2025年「夏のボーナス」

出所:内閣官房内閣人事局「令和7年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」

 

国家公務員の安定性といえば、給与や雇用の継続性、そして退職手当など、さまざまな要素が思い浮かびます。

特に退職手当については「2000万円もらえる」という話を耳にすることもありますが、実際の支給額や勤続年数による違いはどれほどのものなのでしょうか。

この記事では、公式データをもとに国家公務員の退職手当の実態を詳しく紹介し、勤続年数ごとの比較も含めて解説していきます。

1. 国家公務員の退職金平均は「退職理由によって変わる」

国家公務員が受け取る退職手当の平均額は、退職の理由により異なります。以下のデータは内閣官房内閣人事局が公表した資料に基づいています。

【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額1/4

【退職理由別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額

出所:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」をもとにLIMO編集部作成

1.1 常勤職員全体における退職理由別の平均支給額

  • 定年:2147万3000円
  • 応募認定:2492万7000円
  • 自己都合:303万9000円

1.2 行政職俸給表(一)適用者における退職理由別の平均支給額

  • 定年:2122万1000円
  • 応募認定:2249万円
  • 自己都合:316万6000円

応募認定による退職手当が高額になる理由は、早期退職の募集制度が適用されるためです。この仕組みは民間企業の一部でも採用されており、組織のスリム化や人員調整の手段として活用されています。

定年退職に限って見ると、退職手当の平均は2000万円を超える水準にあることがわかります。ただし、この金額は勤続年数によっても大きく変動する点に注意が必要です。

2. 勤続年数ごとに見る国家公務員の退職手当、その違いとは

勤続年数の長さによって、退職手当の支給額にはどの程度の差があるのでしょうか。内閣官房内閣人事局が公表するデータから、勤続年数別の平均支給額を確認してみましょう。

2.1 常勤職員における勤続年数別の定年退職手当平均額

【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額2/4

【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額

出所:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」をもとにLIMO編集部作成

  • 5年未満:246万6000円
  • 5年~9年:492万6000円
  • 10年~14年:854万9000円
  • 15年~19年:1184万7000円
  • 20年~24年:1257万5000円
  • 25年~29年:1599万3000円
  • 30年~34年:2001万7000円
  • 35年~39年:2389万3000円
  • 40年以上:2311万6000円

2.2 行政職俸給表(一)適用者における勤続年数別の定年退職手当平均額

【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額3/4

【勤続年数別】退職手当受給者数と退職手当平均支給額

出所:内閣官房内閣人事局「退職手当の支給状況」をもとにLIMO編集部作成

  • 5年未満:143万2000円
  • 5年~9年:366万5000円
  • 10年~14年:675万4000円
  • 15年~19年:x
  • 20年~24年:1504万8000円
  • 25年~29年:x
  • 30年~34年:2075万円
  • 35年~39年:2209万9000円
  • 40年以上:2167万4000円

※「x」は、当該数字を秘匿したことを示す。

これらの結果を見ると、勤続30年を超えた場合、退職手当の平均額が2000万円以上となっていることがわかります。

3. 段階的に引き上げられる国家公務員の定年制度

2023年度より、国家公務員の定年年齢は段階的な引き上げが開始されました。制度の主な内容は以下の通りです。

  • 引上げのペース:2年ごとに1歳ずつ引き上げ(2023年度は61歳、2031年度には65歳)
  • 役職定年制度:管理監督職にある職員は60歳で非管理監督職へ異動
  • 60歳到達後の給与:61歳に達する年度以降、基本給は70%に減額
  • 退職手当の計算:60歳以降、定年前に退職した場合も定年退職と同等の算定方法を適用
  • 定年前再任用短時間勤務制:60歳到達後、定年前に退職した職員を短時間勤務として再任用

60歳以降の勤務選択フローチャート4/4

60歳以降の勤務選択フローチャート

出所:人事院「国家公務員の60歳以降の働き方について(概要)」

4. 退職手当を賢く活用するために

国家公務員の退職手当について、データをもとに紹介してきました。

退職後の生活において、退職手当は大きな経済的支えとなります。しかし、まとまった金額を受け取った際に「どのように管理すればよいのかわからない」と戸惑う声は少なくありません。

重要なのは、資金を「使う目的」に応じて区分けすることです。日常の生活費、医療費、趣味や旅行資金、そして将来に向けた運用資金など、使用時期と必要額を見通して整理しておくことで、安心感が生まれます。

また、当面使う予定のない資金については、預貯金だけでなく運用も視野に入れることで、インフレなどによる価値の目減りを防ぐ工夫ができます。

物価変動や年金額の不確実性といった予測困難な要因にも対応できるよう、資産を適切に分散させておくことが、安定した老後生活を実現するカギとなります。

※本記事は9月29日に公開された記事の再編集記事です。

参考資料

渡邉 珠紀