5. 老後、所得が少ない年金受給者は「年金生活者支援給付金」の対象に
2019年10月、年金生活者の生活をサポートする目的で「年金生活者支援給付金」が創設されました。
老齢基礎年金、障害基礎年金、遺族基礎年金のうち、一定の要件を満たす人がこの給付金の対象となります。
公的年金と同じ日に、同じ口座に振り込まれます。
ここでは老齢基礎年金生活者支援給付金について支給要件や給付額をご紹介します。
5.1 支給要件
老齢年金生活者支援給付金の支給対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は90万9000円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は90万6700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で80万9000円を超え90万9000円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で80万6700円を超え90万6700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
5.2 給付基準額
年金生活者支援給付金の給付額は、公的年金と同様に、賃金や物価の変動を考慮して毎年度見直しが行われます。
2025年度の老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は「月額5450円」です。
この基準額をもとに、保険料納付済期間等に応じて算出され、下記①と②の合計額となります。
①保険料納付済期間に基づく額(月額)=5,450円×保険料納付済期間÷480月
②保険料免除期間に基づく額(月額)=11,551円(※3)×保険料免除期間÷480月
2024年3月末現在の老齢年金生活者支援給付金の平均支給額は、月額4014円です。
この給付金は要件を満たす限り継続して受けとることができるため、年金生活者にとって貴重な収入の1つとなるでしょう。
本記事で確認してきたように、公的年金は、現役時代の働き方や加入期間によって受給額が大きく変動します。
現役世代の皆さんは、「自分が将来、年金をどれくらい受けとれるのか」を把握した上で、自身の老後に向けて行動することが重要です。
参考資料
- 政府広報オンライン「ねんきん月間」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「た行 特定事業所」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度」
和田 直子
