12月は年内の家計を締める時期であり、とくにシニア世帯にとっては「物価高が続く」という背景から、年金支給日の存在感がより大きくなります。
12月15日は今年最後の支給日。食費・光熱費の高騰が続く中、「みんなは毎月どのくらい年金を受け取っているのか」気になっている人もいるのではないでしょうか。
公的年金は「国民年金と厚生年金」の2階建てという仕組みで運用されていますが、加入期間や働き方の違いによって受給額に大きな個人差が生じる制度でもあります。2025年度は年金額が1.9%引き上げられ、物価上昇への一定の対応は進んでいるものの、なお実感できる改善には時間がかかるという声も少なくありません。
本記事では、最新の年金額をもとに、国民年金・厚生年金の平均受給額、男女差、ライフコース別の年金額例をわかりやすく整理します。
12月の支給日前に「自分の年金額はどの位置にあるのか」を確認し、今後の家計管理に役立ててください。
1. 公的年金の仕組みをおさらいしよう
日本の公的年金には、老齢年金の他、ケガや病気で仕事や生活などが制限されるようになった場合に受給できる「障害年金」、一家の生計の担い手にまさかのときがあった場合に受給できる「遺族年金」という、3つの保障機能があります。
「年金」と聞くと、リタイア後に受け取る「老齢年金」をイメージする人が多いかもしれませんね。
1.1 年金制度は「国民年金+厚生年金」の2階建て構造
「2階建て構造」と呼ばれるそのしくみは、1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金」から成り立ち、現役時代の働き方や過ごし方が、将来の年金水準を大きく左右する性質を持っています。
ここでは、「国民年金」と「厚生年金」の基本とあわせて、それぞれの「老齢年金の受給額」についても整理しておきましょう。
1.2 1階部分《国民年金》
加入対象者は?
- 原則として日本に居住する20歳から60歳未満の全員(職業や国籍は問わない)
年金保険料は?
- 全員一律、ただし年度ごとに改定あり(※1)
老齢年金の受給額は?
- 保険料を全期間(480カ月)納付すれば、65歳以降で満額(※2)の老齢基礎年金を受給できる
※1 国民年金保険料:2025年度月額は1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度月額は6万9308円
1.3 2階部分《厚生年金》
加入対象者は?
- 会社員や公務員、またパート等で特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たした人(国民年金に上乗せで加入)
年金保険料は?
- 収入に応じて(上限あり)変わる(※4)
老齢年金の受給額は?
- 加入期間や納付した保険料により個人差が出る
このように、国民年金と厚生年金では、加入対象となる人、年金保険料の決まり方、老齢年金額の計算方法などが異なります。
そのため、現役時代の年金加入履歴により、実際に受け取る老齢年金額にはおのずと個人差が出てくるのです。
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
1.4 【年金カレンダー】2025年度の年金支給日はいつ?
公的年金は、原則として「偶数月の15日(※5)」に、支給月の前々月分と前月分の2カ月分を合算して支給されます(後払い方式)。
2025年度の「年金支給日」と「支給対象」の年金は以下の通りです。
- 2025年6月13日(金) :4月・5月分
- 2025年8月15日(金) :6月・7月分
- 2025年10月15日(水) :8月・9月分
- 2025年12月15日(月) :10月・11月分
- 2026年2月13日(金):12月・1月分
- 2026年4月15日(水):2月・3月分
※5 「15日」が土日・祝日の場合は直前の平日に前倒しされる
