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12月2日(水)深夜2:00発表予定の米地区連銀経済報告(ベージュブック)に注目が集まっています。

多くの市場参加者が12月の米利上げを予想する中、その実現性を確認する場となるでしょう。

12月利上げ観測が強まる中で株式市場は、一時的に上値の重い展開を想定しますが、過去の経験則に基づけば、利上げが実現後、中長期的には株価上昇シナリオも想定されます。

12月2日(水)深夜2:00発表予定の米地区連銀経済報告に注目

米地区連銀経済報告(以下、ベージュブック)は、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)での協議の叩き台となる、全米12地区の(雇用・生産・販売・出荷・在庫・貿易・物価)の詳細な現状報告です。

通常のベージュブックは、民間のエコノミストの予想と報告結果に差異が生じないケースが多いので、マーケットにサプライズを与えることは稀です。

しかし、今回のベージュブックは、12月利上げの試金石となることもあり、米国内外の企業及び投資家から非常に注目されています。

多くの市場参加者が織り込みつつある12月の利上げが実現するかを確認する場に

前回、10月14日に米連邦準備理事会(FRB)が発表したベージュブックの総括判断は、「(米景気は)引き続き緩やかに拡大した」とし、「緩やかに」との表現を約1年ぶりに加え、減速感を表しました。

特に、製造業は、「ばらつきがあるものの、直近は弱含んでいる」と、前回の「おおむね良好」から下方修正されました。

前回のベージュブック公表時は、中国経済の減速懸念から米雇用統計が弱含んでいたことも、こうした表現になったと思われます。

直近は、欧州での連続テロの影響が懸念されるものの、米雇用統計も改善の傾向が見られ、12月の利上げを予想する市場参加者が増えています。

ベージュブックで米経済への楽観的な見解が提示された場合、12月の利上げ観測が強まり、一時的に、S&P500、NYダウといった株価指数は上値の重い展開となるでしょう。

なお、過去の利上げ後については、利上げ以降、中長期的には米実体経済の内容を確認しつつ、株価は徐々に上値を追う傾向がありました。

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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】米地区連銀経済報告(ベージュブック)の基礎知識

そもそも、米地区連銀経済報告(ベージュブック)とは?

全米12地区の中心的な連邦銀行が、各地域の経済状況と全国の経済状況(雇用・生産・販売・出荷・在庫・貿易・物価)を報告したものです。

1983年から公表され、報告書の表紙がベージュ色のため、通常ベージュブックと呼ばれています。年8回、連邦公開市場委員会(FOMC)開催2週間前の水曜日に発表されます。

ベージュブックは、全国規模の景況感が把握できることに加え、各地区連銀による主要な景気項目について網羅的に解説されます。

一方、日本の個人投資家としては理解に苦しむところですが、各地区連銀の「裁量」による報告書であるため、一貫性・統一性に欠けます。

各地区連銀代表の講演等で金融市場に動揺が走ることもありますので、随時チェックしましょう。

※元データの確認は、米連邦準備理事会のウェブサイトをご参照ください。

岡野 辰太郎