次の公的年金の支給日は12月15日です。この日、年金に加えて「年金生活者支援給付金」を受けとる人もいます。

先月9月には新たにこの給付金の対象となる方へ日本年金機構から請求書が送付されました。提出期限となる9月末までに手続きが完了した方は、12月にはじめて年金生活者支援給付金を受けとることになります。

年金生活者支援給付金は基礎年金に応じて「老齢年金生活者支援給付金」・「障害年金生活者支援給付金」・「遺族年金生活者支援給付金」の3種類あります。

この記事では、老齢基礎年金を受給している方に焦点を当て、その具体的な支給要件や金額を詳しく解説していきます。

1. 老齢年金生活者支援給付金とは

老齢年金生活者支援給付金は、所得の低い人に対して、生活を支援するために支給される給付金です。給付金は、毎回支給される年金に上乗せされています。老齢年金生活者支援給付金について、概要をおさえておきましょう。

1.1 給付金の支給対象者は?

老齢年金生活者支援給付金の支給対象者は、以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金の給付条件

老齢年金生活者支援給付金の給付条件

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成

給付要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である。
  • 帯全員が市町村民税非課税である。
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は80万9000円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は80万6700円以下(※2)である。
    ※1障害年金・遺族年金などの非課税収入を除く。
    ※2昭和31年4月2日以後生まれで80万9000円を超え90万9000円以下である人や昭和31年4月1日以前生まれで80万6700円を超え90万6700円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される。

老齢年金の受給や所得額のほか、住民税非課税世帯であることが支給要件です。年金以外に所得があり要件を満たさない場合や、世帯の誰かに住民税が課税されている場合は、支給対象外となります。

所得要件は、80〜90万円台です。老齢基礎年金を満額受給できない人は、給付対象となる可能性が高いでしょう。

1.2 給付金の基準額は?

老齢年金生活者支援給付金は、基準額をもとに支給額が決まります。2025年度の基準額は以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

出所:厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」をもとに筆者作成

  • 2024年度:5310円
  • 2025年度:5450円(前年度+140円)

2024年度から2.7%増額され、5450円となっています。この金額をもとに、国民年金保険料の納付期間や免除期間などを考慮して支給額を計算しています。

1.3 給付金の計算方法は?

老齢年金生活者支援給付金の支給額は、以下のとおりです。

老齢年金生活者支援給付金の給付額(計算方法)

老齢年金生活者支援給付金の給付額(計算方法)

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金の概要」をもとに筆者作成

老齢年金生活者支援給付金

  • 以下の計算式で算出した金額の合計額
    • 保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
    • 保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1551円 × 保険料免除期間/ 被保険者月数480月

補足的老齢年金生活者支援給付金

  • 5450円×保険料納付済期間 / 被保険者月数480月×調整支給率

保険料納付済期間分の給付は5450円、保険料免除期間分の給付は1万1151円が基準です。国民年金の被保険者期間である480月のうちの保険料納付期間または免除期間の割合を、それぞれの基準額に掛けて、給付額を算出します。

なお、補足的老齢年金生活者支援給付金は、老齢年金生活者支援給付金の保険料納付期間分の計算式に、調整支給率を掛けて金額を算出します。

実際の支給額は基準額である5450円を下回る可能性があることをおさえておきましょう。

次章では、老齢年金生活者支援給付金の平均受給額を解説します。