3. 厚生年金、月額15万円以上もらえる人は全体の何パーセントいる?
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「14万6429円」です。なお、この金額には1階部分の国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています。
受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。
3.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
厚生年金を月額15万円以上受給している人は、全体の半分に満たない47.6%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。
4. 年金だけでたりる?長寿化する日本のいま
平均余命とは、特定の年齢の人々が「あと何年生きられるか」を示す期待値です。
そして、私たちがしばしば使う「平均寿命」という言葉は、「(現時点での)0歳の平均余命」を指します。
2025年7月25日に厚生労働省が公表した「令和6年簡易生命表の概況」によると、最新の平均寿命は男性が81.09年、女性が87.13年でした。
また、平均寿命の長期的な推移を見ると、男女ともに着実に延びています。
- 昭和30年(1955年) 男63.60 女67.75 男女差4.15
- 昭和40年(1965年) 男67.74 女72.92 男女差5.18
- 昭和50年(1975年) 男71.73 女76.89 男女差5.16
- 昭和60年(1985年) 男74.78 女80.48 男女差5.70
- 平成7年(1995年) 男76.38 女82.85 男女差6.47
- 平成17年(2005年) 男78.56 女85.52 男女差6.96
- 平成27年(2015年) 男80.75 女86.99 男女差6.24
- 令和6年(2024年) 男81.09 女87.13 男女差6.03
長くなった老後を豊かに過ごすためには、現役時代からの計画的な貯蓄や資産形成、さらには公的年金制度への理解が大切となってくるでしょう。
5. まとめにかえて
今回は、公的年金の「2階建て構造」や2025年度の年金額改定、そして厚生年金受給額の実態について見てきました。会社員や公務員が加入する厚生年金(国民年金含む)でも、月額15万円以上を受給できている人は全体の半分以下(47.6%)に留まっているという現実に、驚いた方もいるかもしれません。
さらに平均寿命が延びていることを考えると、公的年金だけで老後生活を豊かに維持するのは難しい時代になってきています。特に、2階部分の厚生年金がない自営業者やフリーランスの方は、老後資金の準備がより重要になります。
そのためには、所得控除のメリットが大きいiDeCo(個人型確定拠出年金)など、税制優遇を活用した資産形成が効果的です。まずはご自身の将来の年金額を試算し、足りない分を補うための計画を今すぐに立ててみましょう。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「令和6年簡易生命表の概況」1 主な年齢の平均余命
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
筒井 亮鳳