2. 社会保険料の逆進性とは何?「制度が抱える負担のゆがみ」
社会保険料の逆進性とは、所得が低い人ほど、収入に占める社会保険料(年金や健康保険など)の負担割合が重くなる性質のことです。
主な原因は、保険料に上限額が設定されているためです。高所得者は収入が増えても一定額以上の保険料はかかりません。一方、低所得者は収入の多くを保険料に充てざるを得ず、税制の累進性(所得が多い人ほど負担が重い原則)から外れてしまいます。
高市新総裁が給付付き税額控除を強く推進するのは、この逆進性を緩和し、減税と給付を通じて、所得の少ない人々の生活を直接的に支援できるからです。
3. 実現への課題と今後の見通し
高市新総裁が意欲を示す「給付付き税額控除」ですが、その実現にはいくつもの高いハードルがあります。なかでも公平性の確保について「公平な減税と給付」を実施するためには、金融所得や不動産関連所得などを含む個人全ての所得を正確かつ一体的に把握するための抜本的な税制改革が不可欠となります。これには、マイナンバーと所得情報のひも付けなどの基盤整備が前提となることが予想されます。
高市氏自身も「今年、来年からすぐできるものではない」と述べている通り、制度設計やシステム構築に数年単位の期間が見込まれています。低・中所得者層の生活支援につながる重要政策の行方について、今後の党内および与野党間の議論が注目されます。
参考資料
自民党お知らせ「高市早苗新総裁を選出初 の女性総裁が党再建への重責担う」
自民党お知らせ「もう一度信頼される自民党に 高市新総裁が就任会見」
立憲民主党「【代表会見】「物価高から、あなたを守り抜く」参院選挙政策発表」
村岸 理美