2019年2月20日に日本証券アナリスト協会主催で行われた、株式会社マーケットエンタープライズ2019年6月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社マーケットエンタープライズ 代表取締役社長CEO 小林泰士 氏\n株式会社マーケットエンタープライズ 取締役CFO 今村健一 氏
2019年6月期第2四半期決算説明会
小林泰士氏(以下、小林):本日は弊社決算説明会にお越しいただきまして、誠にありがとうございます。マーケットエンタープライズ2019年6月期の中間決算説明会を開催させていただきます。
Agenda
アジェンダは、こちらのとおりとなっています。
いつもとちょっと構成を変えていますが、弊社のビジョン・考え方と、その(達成の)ために取り組んだことを含めたコーポレートストーリーをご説明させていただければと思っています。その後、現状認識と今後の戦略、2019年6月期中間決算ハイライト、業績予想という流れでお話しさせていただければと思います。
マーケットエンタープライズとは?
まず、コーポレートストーリーからになります。
弊社マーケットエンタープライズは2006年7月に設立いたしましたが、この社名の由来は「MARKET」と「ENTERPRISE」という、2つの言葉を合わせたものです。
「MARKET」は、わかりやすく「市場」です。そのようなものを作っていこう。また、「ENTERPRISE」には「冒険する」という語源が含まれていまして、「冒険的創出」をしていこう。そのようなものをもって、「マーケットエンタープライズ」という社名で設立いたしました。
現在は、リユースを核とした最適化商社を目指して、さまざまな事業展開をさせていただいている会社になります。
最適化商社とは?
「最適化商社とは?」というところなのですが、「賢い消費を望む消費者にさまざまな選択肢を提供できる会社」を作ってまいりたいと思っています。
大量生産・大量消費の時代が終わって、価格を比較して商品を購入することが当たり前になり、ものを売ったり、また安価に購入したりしようという考え方が広がって、さらにこれから先、レンタルやシェアなどと消費に「賢さ」を求める時代に、たくさんの選択肢を提供してまいりたいと思っています。
賢い消費とは?
「賢い消費とは?」というところで、今回は消費者の価値観の変化を含めて、ご説明させていただければと思っています。
消費者の価値観の変化①
4点あるのですが、1点目が、「リユース品に対する抵抗感が薄れてきた」ところです。
こちらは消費者庁のデータで、「リユース品(中古品)を使用することについて、どのように考えますか?」という問いにつきまして、考えに最も近いものを1つ選ぶというものです。
このデータを見ていただく(とおわかりの)とおり、若年層ほど「(場合によっては)リユースを使用してよい」と考える人が多く、「リユース品を使用したくない」という考えの人が少ないことが顕著に表れているのですが、この考え方がどんどん進んでいると認識しています。
消費者の価値観の変化②
続けて、「所有による満足から使用による満足へ」というデータになります。
こちらは、野村総合研究所さまのデータになります。
Aは「レンタルやリース(お金を出して物を借りること)を使うことに抵抗はない」という回答で、Bは「自分の使うものは、なるべく買って自分のものにしたい」という回答です。1985年から比べると、(2018年は)非常にAの回答に近づいてきていると言いますか、より多くの人が「(レンタルやリースを)使用することに抵抗はない」というデータが、顕著に表れています。
消費者の価値観の変化③
続けて、「自分に合ったものを求める消費スタイルに」というところになります。
こちらも、野村総合研究所さまのデータになります。
(2000年)当時に比べまして(2018年では)「とにかく安くて経済的なものを買う」という消費者の方は少し減少いたしまして、「多少値段が高くても品質の良いものを買う」とか「自分のライフスタイルにこだわって商品を選ぶ」という考え方が、どんどん進んできていると感じています。
消費者の価値観の変化④
最後に、「換金ニーズが最も高く、今後再販価値を意識する消費者の増加が期待される」というところになります。
「不要品をリユースに回したい理由」です。
34.8パーセントの方が、「少しでもお金にしたい」という換金ニーズになります。その他、「もったいなくて捨てられないから」「部屋が片付いた状態にしたいから」「社会的に良いことだから」と続きます。
やはり、換金ニーズが(高いのは)非常に情報(化社会)が進んだこともありますし、ネット型リユースやCtoCの個人間取引も含めて、リユースが非常に身近になってきたものですから、このような考え方がどんどん進んでいると考えています。
当社が考える賢い消費者とは?
そのような中、「当社が考える賢い消費者とは?」というところです。
「絶対的価値と相対的価値を意識した消費者」と考えています。
相対的価値を意識する消費者は少数だったが…
相対的価値を意識する消費者はもともと少数だったのですが、絶対的価値から相対的価値(を重視する消費者の層)がどんどん広がっていると考えています。
「絶対的価値」とは、自分にとって満足度の高い買い物ができるかどうか。「相対的価値」とは、世間から見た価値、つまり再販価値があるかどうかなのですが。
その層が拡大している
この(相対的価値の)層が、どんどん拡大していると認識しています。
この賢い消費者が増えていると思っていますし、弊社のサービスを通じて、さらに増やしてまいりたいと考えています。
賢い消費者の対象層が拡大してきている
もともとは、「賢い消費」……再販価値があるもの(として)は、投資商品などを含めたものがわかりやすかったのですが。
この層が高額品から、さらには趣味・嗜好品、一般商品を含めて、どんどん広がっているのが現状だと思っています。
スマートフォン普及率推移
続いて、スマートフォン普及率の推移です。
「手軽に商品を検索する」「価格を比較できる」という状態も相重なって、そのような「賢い消費」が伸びていると考えています。また、2020年の半ばには3Gがドコモさまから廃止になって、徐々にガラケーが廃止になって、さらにスマートフォンが浸透することによって、このような「賢い消費」がさらに進んでいくのはないかと考えています。
増加している賢い消費者に向けたサービス提供
「増加している賢い消費者に向けたサービス提供」というところで、弊社では事業ポートフォリオを構築してまいりました。
事業ポートフォリオに必要な要素
大きく、これらの4つ要素があるのかなというところです。「プラットフォーム」「取引商材・方法」「情報提供メディア」、基盤となる「IT」で分けています。
当社事業ポートフォリオ 2014年まで
もともと、創業からフリーマーケット事業を展開していたのですが、2013年に事業売却をして以来、この2014年までは「高く売れるドットコム」という、弊社の基幹サービスの一般商材買取の個人向けを中心に、買取サイトを複数展開して事業展開をしてまいりました。
当社事業ポートフォリオ 2015年~2016年
2015年から2016年に関しましては、この「高く売れるドットコム」に加えまして、「ReRe」という自社のeコマースサイトを構築しました。また、MEモバイルという子会社を設立して、中古端末と通信領域に事業を展開しました。
当社事業ポートフォリオ 2017年
2017年になりますと、「ReReレンタル」という宅配型のレンタルサービスや、専門商材としまして、「農機具高く売れるドットコム」をスタート。また、情報提供メディアというかたちで、「高く売れるドットコムMAGAZINE」「ビギナーズ」「iPhone格安SIM通信」という、3つのメディア展開をスタートいたしました。
当社事業ポートフォリオ 2018年
2018年には、専門商材の領域に関しまして、「建機高く売れるドットコム」「医療機器高く売れるドットコム」という2つのサービスをスタートしていました。
当社事業ポートフォリオ 2018年末~2019年初
直近になりますが、2018年末から2019年初(の事業ポートフォリオとしては)、プラットフォームとして「おいくら」という、リユースのマッチングサイトの事業取得をいたしました。
メディアに関しましても、アウトレットのモールの商品店舗の詳細まで含んでいる、情報サイトである「OUTLET JAPAN」も事業譲渡させていただきまして、展開しています。
ITは、すべてに関する基盤となる展開というかたちで行っていまして、とくにこのデータドリブンマーケティングには、力を入れて事業展開を行っています。
当社事業ポートフォリオ
このような背景の中で、今の当社事業ポートフォリオとしては、CtoBプラットフォーム。取引手段としてのCtoBtoCの、個人から買取をさせていただいて、個人の消費者に販売するリユース。小規模事業者や法人の方を中心とした、農機・建設機械・医療機器などのBtoBのリユース。また、情報提供メディアのポートフォリオとなっています。
CtoBtoC リユース①
現状認識と今後の戦略について、ご説明させていただければと思います。
まず、リユースの市場規模です。
年平均(成長率)107パーセントで推移してきていまして、2016年のデータが直近なのですが、1兆7,743億円となっています。「2020年には2兆円を捉えて」という指標も出ていますが、堅調にリユース業界のマーケットが拡大・成長しているかたちになっています。弊社では、これからも成長が持続的に続くのではないかと考えています。
CtoBtoC リユース②
まずは安定成長・生産性改善をして、さらにリユースを中心として伸ばしてまいりたいと考えています。
CtoB プラットフォーム①
リユース市場動向の内訳を見てみますと、ネットに関するリユースマーケットは、年(平均成長)率18パーセントで成長しています。CtoCやネット型のリユースを含めたものです。一方で、リアル店舗、来店型のリユースのマーケットは、年平均(成長率が、マイナス)2パーセント。今は減速している状態となっています。「リユースが全体で伸びている」と言っても、そのような部分では、少し差が出ているのかなと考えています。
CtoB プラットフォーム②
そのような中、こちらは経済産業省の出している「商業統計」になります。
店頭市場は少し減っているのですが、リユースの店舗自体は増えているというデータになっています。
CtoB プラットフォーム③
結果として店舗型のリユースの企業さまは、店舗は増えているものの、買取のご依頼がちょっと集まりづらい、集客しづらいといった構造になっています。
今回、CtoBのプラットフォームとして、弊社はプロトコーポレーションさまから「おいくら」という事業の譲渡を受けました。ここは、(全国)1,400店舗のリサイクルショップの加盟店さまがいらっしゃるプラットフォームになっています。そこと、もともと集客力のある弊社のネット型リユースとで、相乗効果を出してまいりたいと考えています。
現状、弊社の買取のご依頼を、一般の方から月間で約4万件ほどいただいています。この「おいくら」というサイトに関しましては、月間で1万2,000件ほどの買取依頼を一般消費者の方から集めています。合わせますと(月間で)5万2,000件ほど、年間で60万件を超える買取依頼があります。
弊社としては、今まで出張の買取におうかがいできなかったエリアですとか、物理的にちょっと対応が難しかった商材も、このように全国にある1,400店舗の加盟店さまであれば対応できる商品が多数ありますので、エリアの拡大と併せて相乗効果を出してまいりたいと思っています。
BtoB(法人・小規模事業者向け)リユース
BtoBの法人・小規模事業者向けのリユースになります。
こちらはEC化率の低い……物理的に物流などを含めて、個人間の取引が非常に難しいマーケットでしたが、弊社でこのようなBtoBリユースマーケットを構築していっています。
とくに農機具に関しましては、農家の方の平均年齢が67歳となっていまして、非常に離農される方が多くなっていることや農業の大規模化も含めまして、リユースの機械の売却ニーズが強くなってきています。
これに関しましては引き続き、新しい建機・医療機器と同時に、マーケットを構築してまいりたいと考えています。
メディア PV推移
メディアです。2017年の5月に「ビギナーズ」をスタートしてから、直近の「OUTLET JAPAN」の取得も含めまして、4つのメディアを展開しています。
昨年(2018年)の1月から今(2019年1月時点を)考えますと、トラフィック・PVが約7倍まで伸びている状況となっていますので、これからもこのような「賢い消費」に関わるメディア展開を、これからも積極的にしてまいりたいと思っています。
弊社の従来のサービスへの送客という部分と、新たな収入と収益源という2つのかたちで位置付けて展開していますが、さらに広げてまいりたいと思っています。
メディア
メディアも、大きく2つに分かれるのかなと思っています。「消費分野に関する情報」と「取引方法に関する情報」という2つになります。
まず、「iPhone格安SIM通信」です。今は安定的にトラフィックが伸びていますが、非常に注目の高いマーケットだと思っています。2019年9月には、中古スマホのSIMロック解除義務化があります。
ここに関し(てご説明し)ますと、今までのSIMロックは、中古端末の場合は解除されていなかったのですが、(2019年9月の解除義務化以降は)中古端末をベースに、もっと「賢い消費」がしやすくなります。「中古端末やSIMを自由に選ぶ」という消費行動ができるようになってきますので、その部分のマーケットが非常に伸びると、弊社では考えています。
また、アウトレットモールです。こちらも、今の市場規模は8,000億円ということで、非常に大きくなっています。2018年は訪日外国人が3,000万人を突破しましたが、アウトレットに来られる外国の方も非常に多くなってきています。
弊社ではリユース品のネット通販を通じながら「賢い消費」を展開しているのですが、このような新しい消費行動の中で、インターネットのメディアとしても収益を上げてまいりたいと考えております。
「ビギナーズ」は、レンタル初心者向けの新しいメディアです。コト消費がどんどん進んでいます。(ただのモノの)消費ではなくて、コト消費をしていく。また、リユースに関しましても、モノの売り方や処分の仕方を初心者向けに情報提供するようなメディア(「高く売れるドットコムMAGAZINE」)を展開させていただいております。
中古スマートフォン相場検索サービスリリース 2018年9月
「iPhone格安SIM通信」の内容の一部抜粋です。
中古スマートフォン相場検索サービスをリリースさせていただきました。これも、ヤフーオークション・メルカリ・ラクマ・ムスビーという主要の4サイトの端末取引数・取引価格を一覧で比較できるような、相場検索ができる仕組みとなっております。今後は、ますます需要が広がってくると考えております。
展開イメージ
弊社の展開イメージの全体像になります。
まずは、インキュベーション(支援投資)というかたちで、新しい事業に取り組んだり、M&Aなどをさせていただいたりしたあと、拡大投資をしてまいりたいと思っております。専門領域を含めて、今非常に伸びているマーケットが、この拡大投資を積極的にしていくところです。
また、右側になりますが、持続的イノベーションというところです。リユースの大きなマーケットの中では、安定的成長と生産性向上によって、収益改善を図ってまいりたいと考えております。
2019年6月期中間決算ハイライト
それでは、2019年6月期中間決算ハイライトになります。
前年(2018年6月期中間時点)の売上高の29億1,400万円から、今年の中間では38億3,200万円というかたちで、前年対比31.5パーセントの成長となりました。
また、営業利益に関しましては、前年の500万円から今年は1億5,000万円というかたちで……前年が小さかったのであれですが(前年比)30倍というかたちの進捗になっております。
増減益分析
こちらが、増減益分析になります。
売上粗利率が0.7パーセント低下したことによる減益要因は、2,800万円。販管費が前年比2億600万円増加した影響はあるものの、売上高が9億1,800万円増加したことによる増益効果が3億8,000万円。それらをカバーして、大幅な増益になりました。
四半期別商品在庫推移
こちらが、四半期ごとの商品在庫推移を表したものになっております。
次の四半期の売上に寄与する受注残と、ほぼ同意義であると社内では捉えておりますので、買取が好調に推移した背景によって(2018年)12月末で3億1,300万円、前年同月末比で(プラス)36パーセントと、多く積み上がっている状態となっております。
ここまで在庫を積み上げながら、このような中間期(決算として着地した)というかたちで考えておりますので、非常に良い推移かなと弊社では捉えております。
貸借対照表概要
こちらが、貸借対照表の数字になります。
借入金(合計)が49パーセント増加しているのですが、運転資金のところと、この(2018年)年末と(2019年)年始に「おいくら」のサービスと「OUTLET JAPAN」のM&Aがありましたので、そのような部分での資金になっております。
2019年6月期業績予想
最後に、業績予想になります。
ご覧のとおりになりまして、上方修正を出させていただきました。売上高を80億6,500万円、営業利益を2億4,500万円というかたちで出させていただいております。
売上高推移
過去の売上高推移です。13期連続増収になる見込みで出させていただいております。
経常利益推移
こちらが、経常利益推移になります。
マザーズ上場までは「成長期」というかたちで、順調に収益を伸ばしてまいりましたが、上場後は新拠点のリユースセンターやコンタクトセンターの新規開設、また新しい事業の構築というかたちで積極投資をしてまいりました。その甲斐もあって、この収益の貢献が現れ始めたのが、現状かなと考えております。
今期13期(2019年6月期)は、社内では「RISING」という「上昇していくぞ」ということをテーマにやっているのですが、これからも継続的に成長していけるようなかたちを構築してまいりたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、説明になります。ありがとうございました。
質疑応答:「OUTLET JAPAN」の事業譲渡について
質問者1:東洋経済のフクダと言います、よろしくお願いします。(質問は)3つあるのですが。
(1つ目は)「OUTLET JAPAN」の事業譲渡についてですが、買収金額、年商、営業利益を教えていただけますでしょうか。
小林:こちらは公表していないのですが、弊社全体に与える影響としては、非常に軽微と認識していただければと思います。
質問者1:そうですか。これは、子会社として連結化をする予定なのでしょうか。
小林:こちらに関しては、事業譲渡になりますので。
今村健一氏(以下、今村):本体で吸収しておりますので、別途子会社化ではございません。
質問者1:それから、34ページに「おいくら」(というCtoBプラットフォーム)がありますが、その詳細な概要を改めて教えていただけますでしょうか。
小林:そうですね。こちらに関しましては、全国の中古車情報の検索サイトである「グーネット」を展開されているプロトコーポレーションさまから、事業譲渡を受けたかたちです。もともとはDeNAさまが立ち上げたサービスだったのですが、リユース市場では老舗的なプラットフォームになっております。
買取依頼をしたいお客さまがここにご依頼をされますと、この加盟店さまから見積もり依頼・結果が複数出るような、マッチングのプラットフォームになっております。「この店舗だったら、いくらで買い取ります」「(別の)この店舗だったら、いくらで買い取ります」と査定結果が来て、お客様がその中から買取店舗を選択できるいった形です。
質問者1:ここに、全国1,400店舗の実店舗が登録されているのですか?
小林:1,400店舗の加盟店さまが登録されておられます。
質問者1:加盟店とはどのような意味ですか?
小林:はい。こちらに関しましては、店舗で展開されていらっしゃる加盟店さまもいらっしゃれば、店舗ではなく出張買取をメインとした加盟店さまもいらっしゃる状況になっております。
質問者1:それを、御社はどのように利用するのですか?
小林:弊社では、月間に約4万件ほど買取のご依頼をいただいているのですが、地域的に買取が(難しい場合があり)……例えば「沖縄に出張(買取)に来てほしい」とか(ご依頼いただいても)、弊社では拠点を構えていなくて、実際には買取に至らないケースがあります。また、商材によってはインターネットでの商品販売にはなかなか向いていなくて、実際に買取に至らないケースが多くあります。
例えば、この(月間のご依頼件数の)4万件の中で、だいたい弊社では約1万6,000件ほど、このようなご依頼があると思っています。弊社にとっては、残念ながら買取が対応できないこのようなご依頼に関しましても、この加盟店の1,400店舗のみなさまにしてみれば、非常に有効な買取のご依頼があるケースが多数あります。
弊社でなかなかマッチングしなかったご依頼を、こちらの「おいくら」のプラットフォームに、まずは送客させていただくかたちでの融合を図っていきたいなと思っております。
質問者1:御社で買取できなかったところを、おいくら登録店舗がカバーするということですか?
小林:そうですね。そのような部分が、1つあると思っております。全体としてCtoCのマーケットも広がっている中で、やはり個人間ではなかなか取引しづらい商品が非常に多くあります。
例えば、高額なものだったら「保証をつけて買いたい」とか。商品を売る際も、例えばPCやスマホも含めまして、「データ消去をしっかりやってくれるような業者に、商品を販売したい」とか。「出張や引っ越しがもう今週末に迫っているから、自分でわざわざ出品するのは非常に難しい」など個人間取引では対応が難しい買取ニーズがあります。
その中で、これからCtoCを含めてどんどんリユースが進んでいく中でも、このようなニーズは、一定数ずっと残り続けると思っております。弊社では、そうしたニーズを、加盟店さまと一緒にしっかりとキャッチアップし続けていきたいなと思っております。
質問者1:これは、いつからスタート(しているのですか)?
小林:(2018年)12月19日に発表させていただきまして、(2019年)2月1日から弊社に参画しております。
質問者1:最後に、今期の新拠点の開設の方針について教えていただけませんでしょうか。
小林:今期に関しましては、新拠点の開設に関しては予定しておりません。
質疑応答:各事業の現状や今後のイメージは?
質問者2:上期及び通期の農機具の販売、通信、メディア既存事業の現状や今後についてどのようなイメージになるのか、ご説明が可能であればお願いしたいのですが。
小林:可能な範囲で、お話しさせていただければと思っております。まず、農機具に関しましては、昨年(2018年6月期)1年間で売り上げた金額を、この(2019年6月期の)上期ですでに達成しているようなかたちになっておりますので、非常に順調に伸びております。
また、メディアの部分に関しましては、先ほどはトラフィックのPVの部分だけ表示させていただいた状態になっているのですが、「順調にアクセス数が増え、収益に寄与するようになり始めている」というかたちで、お伝えさせていただければと思います。
通信に関しましても、集客を含めまして、今は順調に獲得できているようなかたちになっております。
質問者2:わかりました。農機具などは個人間では難しいのですが、法人であれば参入は可能で、今後脅威になるという可能性もあるのでしょうか?
小林:そうですね。(農機具は)非常に古くからあるマーケットではあるのですが、なかなかやはり(他社の参入は難しいと思います)。商品の属性上、全国に買取希望商品が散らばっていたりですとか……都市部に集中してるわけではなく、いろいろな場所に商品がありますので、まず「全国対応できる事業者」は非常に少ない環境下にあるのが、農機具のマーケットだと思っております。
弊社は、全国10拠点にあるリユースセンターを中心としながら、今パートナー企業ネットワークを構築していっておりまして。弊社で買取のご依頼をいただいて、弊社でこの問い合わせを受けるところまでをやったあと、実際に物流網を(活用しています)。各パートナー企業さまに商品を取りに行っていただいて、そこから商品を販売して、また陸送していただくというようなパートナー戦略で進めていっておりますので、全国展開ができる農機具の買取事業者は、なかなか構築しづらいのではないかなと思っております。
質疑応答:今後の海外進出の可能性は?
質問者3:SMBC日興証券のマエダです。お話、ありがとうございました。
小林:ありがとうございました。
質問者3:質問が2点ございまして。
さっき、最初の質問者の方からの最後のご質問で、「今期は新しい拠点に進出する可能性はない」とおっしゃっていましたが、今後の海外進出の可能性について、そのご意向があるのかどうかを教えてください。これが1つ目です。
もう1つは、「農機具は非常に利益に貢献度が高い」という話でありますが、今後より大きな商材……例えばバイクとか自動車とか、そのような大きな商材を取り扱う可能性(があるのかどうか)。この2点を教えてください。
小林:ありがとうございます。まず1点目として、弊社が今期拠点展開をしなかった部分なのですが。まずは、「おいくら」事業の準備が大きな部分になります。こちらは、これからシステムリニューアルを含めまして、しっかりと投資をして広告投下をしてまいりたいと思っております。
そこの部分で、まずは拠点を展開せずに「おいくら」事業者……加盟店の先約店さまとの相乗効果を図ってまいりたいと思っているのが、拠点展開をしない大きな理由の1つです。
グローバルの部分のマーケットに関しましては、当時は(海外ショッピングモール購買代行の)「eBay」などを通じて、約30ヶ国以上に商品を出品してまいったのですが、なかなかeコマースでの海外展開の難しさを痛感した部分がありました。
そのような中で、BtoBリユースの農機具・建設機械・医療機器の商材に関して、海外のニーズは非常に強くあると感じて展開している背景もありますので、直接的な拠点展開というよりは、商材に特化して海外に商品を出していくことは、今後も十二分にあると考えております。
また、「バイク・自動車を含めた違ったところ(大きな商材)も展開するのか?」です。農機具・建設機械・医療機器ときているとおり、「リユースのマーケットはあるが、まだそこに事業者が存在していない」というマーケットは、これからも多くあると思っておりますので、ここに関しましては弊社でも積極的に展開してまいりたいと考えております。
質疑応答:AI・ビッグデータ等の活用について
質問者4:TMACのカワラザキと申します。2点、質問がございます。
1点目はCtoBで、今後いろいろと競合する企業がある中で、買取のプライシングが出品側からすれば非常に重要な要素ではないかと感じております。プライシングできちっと自社の利益も出しながらそれを提示し続ける点で、例えば今後AIとかビッグデータの活用(が想定されますが)、このようなITシステムの技術で、今どのような準備をされているのかが1点目です。
もう1点はBtoBで、建機とか医療機器はCtoBとはまた少し市場が違っていて、いろいろ価格の評価だとか物流・保守面とか、いろいろな要素が増えてくると思います。この建機とか医療機械の分野で御社としてのビジネスを成功させる上で、どのようなことを優先順位として、重要な経営課題と考えていらっしゃいますか?
この2つをお聞かせいただければと思います。
小林:ありがとうございます。全体として一貫している部分がありますが、リユースのところは、消費者の方からしますと「いくらになるのか?」という商品のプライシングが非常に重要なことは、ずっと普遍的なものです。ただ、実際にリユースの中では、プライスだけではない部分が多くあります。
先ほども申し上げましたが、「データの消去をしてくれるのか?」「保証があるのか?」「いつ商品はくるのか?」「今日きてくれるのか、明日きてくれるのか?」などを含めたサービス面や、その他付随する要素が、リユースのマーケットには非常に多くあると思っています。弊社としてはこの部分を、基本的に両方とも注力しながら展開している部分があります。
例えばCtoB、個人の方から買取をさせていただくところも、基本的には買取のご依頼も全体としては年間で60万件ほどの買取依頼をいただいてくるかたちになりますので、非常に多くの買取依頼のデータをもっています。
ここに関しましては、マーケティングオートメーションを含めまして、弊社でどれぐらいの価格帯でどのような商品の依頼がくるか、全部のデータを保持しておりますので、そのようなものを積極的に活用させていただいたりしております。
先ほどの「プライスだけじゃない」という部分に関しましては、例えば、買取の出張ルートの最適化を自動で判別できるようにしていたりとか、リユース品を買い取る際の古物の法律があったりだとか、確認しなければいけないデータが多数あります。そのようなものを全部iPad(でデータ)化しながら、商品の入力や簡素な登録ができるかたちと、データが残るかたちも構築しております。
そのような部分で、これからも買取データ、また商品の販売データを積極的に活用しながら、自動的にお客さまに対してプライシングが提供できる部分と、その他の付随する部分に関しても簡素化できるように、生産性の高いサービスを提供できるものを構築していきたいと思っております。
そのような意味では、プライスだけではない要素がより幅広くなるのが、大きな商材だと思っております。これを物流として、加盟店さまと解決していく部分だったり、パートナー企業さまと解決していく部分だったり、商品の売り方にITを活用しながら店頭販売を前提としないで、どのようなかたちで構築していけるのかを、これからもシステムに投資してまいりたいと思っております。
BtoBのマーケットのほうが、より物流の問題が大きくなっておりますので、大きなものであればあるほど、プライス以外の要素が非常に大きくなってまいります。商品に関しての型番自体は、一般の商品に比べて少なくなります。なので、価格を出すこと自体はそれほど難しくなくなってくるのですが、付随する商品の状態だったり、それがどこにあるのか、商品のどこで使われるのかを含めた部分の要素が大きくなってきておりますので、その部分をITの力を使ってより簡素化していくことによって、どんどんと競争力を作っていけると思っております。
質問者4:例えば、建機だとか医療機械は「動かせる状態なのかどうか」など買い手からすると実際の商品の状態が気になると思うのですが、ここは、誰がやるのですか?
小林:建設機械に関しましても、実際の買取のご依頼をいただいて、実際にその商品の型番や状況をお聞きします。過去のBtoBの落札相場を見ますと、だいたい「この相場からこの相場ぐらいのあいだになる」とは、私どもで判定できます。
そこをまずベースとしながら、実際の商品を撮影させていただいたり、実際に見に行ったりするパターンもございますし、パートナー企業さまに撮影をお願いするパターンもございます。実際に商品の状況をしっかりと実物を見なくてもご判断できるところまで、商品のデータとして収集した上で販売を行っています。
質疑応答:既存ビジネスと成長性ビジネスについて
質問者5:こころトレードのナラと申します。2点お願いします。
1点目なのですが、40ページの既存ビジネスと成長性ビジネスの、売上と利益の割合を教えてください。何を気にしているかと言うと、既存ビジネスの成長性がやや鈍化しているのかなと思っております。多分、前期の決算もそんな感じの見え方をしていたので、もし既存ビジネスの状況が「今後も、何パーセント成長ぐらいしか期待できない」ということがあれば、教えていただきたいです。
2点目ですが、44ページの在庫の内訳を教えてください。多分、成長している農機具がけっこう増えてきたのかなと感じているのですが、今後在庫を多く持つようなことになれば、それなりの規模で、今後は保存場所とかが必要になってくるのかを気にしています。この在庫内容が、今後も長く続くのか教えてください。以上です。
小林:1点目の、既存リユースです。上場後は「まずは基盤を構築しよう」と、全国10拠点への拠点開設を加速してまいりました。また、コンタクトセンターの開設も含めて積極的に投資をしまして、基盤は整ったかなと思っております。
現状に関しましては、よりブラッシュアップして、生産性の向上に大きな重きを置いてやっております。より成長が見込まれる同じような買取に関しては、農機・建機・医療でスタートしておりますので、全体としてリユースの伸びが低下しているわけではないと思っています。
少しずつ競合他社さんの多いブランド品のリユースには、積極的に展開するところを減らしながら、よりまだマーケットが確立されていないマーケットに、弊社としては軸足をズラしています。そのような意味では、意志のある安定的成長に向かって進めていると認識していただければと思っております。
今村:2点目は、私から代わってご回答させていただきます。ダイレクトな数字につきましては、非公表とさせていただいておりますので申し上げられないのですが、当然農機具の去年1年分の業績を今年(2019年6月期)の上半期でも足していますので、ご想像にお任せする以外にはないのですが、それなりに伸びています。
在庫リスクにつきましては、ちょうど去年……前期の上半期に在庫の評価損で、これまでに積もった言わば「負の遺産」を一掃しました。去年の上半期の期末のタイミングです。そこから先ほど小林が申し上げたとおりで、諸々のデータの整備であるとか(を行いました)。
要は、査定力を向上させることによって、売れないものは買わないし、しっかり値付けの精度が上がってきていることもありますので、評価減のリスクは大幅に減ったと認識しています。
現状におきましては、そこのルールを社内でも確立して、新規事業である農機具や医療機器・建機にも当然適用しておりますので、変に見た目だけ在庫が膨らんでいて、実際に蓋を開けたら不良債権……ということがないような精度をもって、進めている最中です。
質問者5:基本の基盤ビジネスは、売上より利益ベースで上げていくことに注力していく認識で、間違いないですか?
小林:そうですね。現状に関しては、そうなります。
質問者5:わかりました、ありがとうございます。
小林:「おいくら」事業とのシナジーも含めまして、既存事業を展開できる方法は非常に多数ありますので、まずはそちらに注力したいと思っています。
質問者5:わかりました。