3. 上皮内新生物の基礎知識と悪性新生物との違い

上皮内新生物は、がん細胞が上皮内にとどまっている初期段階のがんです。基底膜を破って浸潤していない状態のため、転移のリスクが極めて低く、適切な治療により完治が期待できます。

自覚症状がほとんどないため、定期的な健康診断や内視鏡検査によって発見されることが多いのが特徴です。早期発見により、比較的負担の少ない治療で完治を目指せます。

3.1 上皮内新生物の罹患状況

厚生労働省の2020年の統計によると、全がん罹患数105万5728件のうち、上皮内新生物は11万673件で約10%を占めています。検査技術の向上により、早期発見されるケースが増加傾向にあります。

特に大腸がんでは約21%、子宮頸がんでは約68%が上皮内新生物の段階で発見されており、部位による発見率の違いも明確になっています。

4. 主な上皮内新生物の種類と特徴

では、上皮内新生物の代表的な疾病について見ていきましょう。

4.1 子宮頸部上皮内新生物

子宮頸がんの前がん状態や初期段階で、HPV感染が主な原因とされています。20代後半から60代の女性に多く見られ、定期的な子宮頸がん検診により早期発見が可能です。

高度異形成も上皮内新生物に含まれますが、保険会社によって取り扱いが異なる場合があるため、事前確認が重要となります。

4.2 乳房非浸潤性乳管がん

乳管内にがん細胞が限定されている乳がんの初期段階です。自覚症状は少なく、マンモグラフィや超音波検査で発見されることが多くなっています。

手術や放射線療法、ホルモン療法などが治療の選択肢で、定期検診とセルフチェックが早期発見の鍵となります。

4.3 大腸上皮内新生物

大腸がんの約21%が上皮内新生物の段階で発見されています。初期症状はほとんどなく、検診での便潜血検査や大腸内視鏡検査により発見されることが一般的です。

主な原因は、食生活の乱れや運動不足、過度の飲酒、遺伝的要因などとされています。