この記事の読みどころ

10月8日(木)8:50発表予定の機械受注(2015年8月分)は、設備投資の先行きを占う重要な先行指標です。

特に注目したいのは「船舶・電力を除く民需」の受注額(前月比・季節調整値)です。

機械受注は、短期的に設備投資関連銘柄や機械関連銘柄の株価動向を左右します。

10月8日(木)8:50発表予定の機械受注の動向に注目

10月8日(月)8:50に内閣府が発表予定の機械受注は、民間設備投資の先行指標であり、約6か月から9か月先の民間設備投資動向を予想する上でとても重要な材料です。

なぜ、機械受注統計が先行指標の役割を果たすかというと、ある企業が生産能力の拡大のために設備投資をしようとする場合には、機械設備を生産しているメーカーに発注する必要があります(機械メーカー側から見れば受注→機械受注)。実際にメーカーが機械を製造し、発注先がそれを装備するのは相当先のことになります(6~9か月といわれます)。よって、機械受注時点での金額を合計すれば、将来の設備投資を先読みできるということになるのです。

当然、機械受注が好調であると公表されると将来の企業業績にプラスの影響を与え、株式市場全体を動かす場合があります。したがって、国内の設備投資関連銘柄や機械関連銘柄、さらには、アクティブ型・パッシブ型(インデックス型)やブル・ベア型の投資信託に関心の高い個人投資家の皆さんは必ずチェックしましょう。

「船舶・電力を除く民需」の受注額(前月比・季節調整値)に注目する理由

機械受注は、「船舶・電力を除く民需」の受注額(前月比・季節調整値)に絞ってチェックしましょう。なぜなら、船舶・電力の受注は、景気局面との相関性が低く、不規則な動きを見せるためです。株式市場参加者も「船舶・電力を除く民需」の受注額(前月比・季節調整値)を注視しているため、マーケットインパクトも大きいです。

過去の推移と8月分の注目点

機械受注は2007年に顕在化した米サブプライムローン問題および2008年9月のリーマンショックを受け、大きく悪化。その後、緩やかな回復傾向が続いてきました。ただし、中国を始めとした世界経済の景気減速懸念が強まる中、6、7月の直近2か月で計10%超の減少が続いており、今後の影響を注視する必要がありそうです。

今回、「船舶・電力を除く民需」の受注額(前月比・季節調整値)8月分の市場予想は前月比+3.2%と3か月ぶりに増加する見通しとなっています。国内景気に対する悲観的な見方が増えてきている中で、市場予想を上回る場合、TOPIXや日経平均といった株価指数の上昇に寄与するでしょう。また、短期的に、国内の設備投資関連銘柄や機械関連銘柄の株価のボラティリティが高まります。一方、市場予想を下回る場合は悲観的な見方が一層増えてくるでしょう。

機械受注(季節調整済)
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出所:SPEEDAをもとに筆者作成

【参考情報】機械受注の基礎知識

そもそも機械受注とは?

景気動向を正確に把握するためには、設備投資動向を押さえるのが大事です。設備投資のGDPに占める割合は約15%にとどまるものの、振れ幅が大きいためGDP全体に与える影響も大きくなります。特に、機械受注統計調査は、内閣府が毎月発表している経済指標の1つであり、民間設備投資の先行指標となります。

機械受注の発表時期は、翌々月中旬です。なお、3月、6月、9月、12月の調査では四半期先の「見通し調査」も同時に発表されます。

同調査は機械等を製造する企業のうち主要な企業280社を対象としており、「調査機種」にあげた大分類ごとに、昭和60年現在でカバレッジが80%程度となるように選定されています。この調査における「受注総額」は、回答額の単純合計となっています。機種別販売額は、原動機、重電機、電子・通信機械、産業機械、工作機械、鉄道車両、道路車両、航空機、船舶に分類されています。

なお、平成23年4月調査より、携帯電話を含まない調査に変更となっている点には注意したいところです。

※元データの確認は、内閣府のウェブサイトをご参照ください。

岡野 辰太郎