2019年2月1日に行われた、住友化学株式会社2019年3月期第3四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:住友化学株式会社 取締役/専務執行役員 野崎邦夫 氏
連結業績概要(対前年同期実績)
野崎邦夫氏:住友化学の野崎でございます。本日はお忙しいところ、当社のコンファレンスコールにご参加いただきまして誠にありがとうございます。
投資家のみなさま、アナリストのみなさまには、日頃から当社の経営にご理解、ご支援をたまわり誠にありがとうございます。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。それではただいまから、2018年度第3四半期の業績についてご説明申し上げます。
まずはスライド4ページをご覧いただきたいと思います。2018年度第3四半期、4月から12月の9ヶ月間の連結業績でございます。
売上収益が1兆7,141億円でしたので、前年同期と比べて1,083億円の増収となりました。ただ、利益項目につきましては各項目とも減益となっております。経常的な収益力を表しますコア営業利益は1,549億円となり、前年同期比で439億円の減益です。
コア営業利益に含まれる持分法投資利益は324億円で、こちらも前年同期比で76億円の減益でした。コア営業利益に含まれない非経常項目につきましては、事業構造改善費用が61億円、条件付き対価に係る公正価値変動が55億円など、合計で123億円の損失を計上いたしました。
前年同期は固定資産の売却益などを計上したことから、前年同期との比較で非経常項目は58億円悪化したということになります。この結果、IFRS上の営業利益は1,426億円となり、前年同期に比べて497億円の減益となりました。
金融損益につきましては56億円の利益でございます。こちらは前年同期に比べて38億円改善いたしました。このうち為替差損は、当期末にかけて円安が進行し、111円/ドルとなりました。(2018年)3月末が106円程度でしたので、5円弱の円安ということですが、これにより48億円の利益を計上し、前年同期比で31億円改善しております。法人所得税費用は306億円となり、前年同期に比べて税負担が173億円減少いたしました。
この結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は890億円となり、前年同期比で197億円の減益でございました。ROEは(2018年4月から12月までの)9ヶ月の段階で9.3パーセントとなっております。
なお、当社業績に影響を与える平均為替レートと原料ナフサの価格は、円ドルレートの期中平均レートが111.14円ということで、前年同期に比べてほぼ横ばいでした。ただ、ナフサ価格につきましては、(2018年4月から12月までの)9ヶ月の平均は52,200円/キロリットルで、前年同期に比べて約31パーセント上昇しております。
海外売上比率は、64.9パーセントとなりました。おもに中国向けに石油化学や情報電子化学での出荷が増加したことなどにより、海外売上比率は前年同期に比べて上昇いたしました。
セグメント別売上収益
続きまして、セグメント別の業績概要をご説明いたします。5ページをご覧ください。まず、売上収益からご説明いたします。
先ほど申しましたように、全社の売上収益は前年同期比で1,083億円の増収でございました。セグメント別には、石油化学、エネルギー・機能材料、情報電子化学で増収となっております。
売上収益の前年同期比増減について、全社で大きな要因別に分析をいたします。まず価格面では、情報電子化学、医薬品で販売価格が下落いたしております。一方で、石油化学において原料価格の上昇に伴い製品市況が上昇しました。このため、差し引きしますと売価差でプラス360億円の増収要因となっております。
また数量面は、医薬品・その他を除くすべてのセグメントにおいて出荷が増加しておりますので、数量差ということでは804億円の増収要因となりました。なお、海外子会社の売上収益の邦貨換算差は82億円の減収要因となっております。
セグメント別コア営業利益
続きまして、6ページをご覧ください。全社のコア営業利益は、前年同期に比べて439億円の減益でございました。セグメント別には、エネルギー・機能材料、情報電子化学で(前年同期に比べて)増益となっておりますが、その他のセグメントは前年同期に比べて減益でございました。
これを要因別に申しますと、まず価格面では、情報電子化学・医薬品などで売価ダウンの影響がございました。また健康・農業関連事業では、おもにメチオニンの交易条件が悪化しております。全体で220億円のマイナス要因となりました。
コスト面では、情報電子化学で合理化を進めましたが、医薬品において販売費が増加したことなどから、105億円のマイナスとなっております。
また、持分法投資利益の増減を含みます数量差等の項目は、出荷が増加したエネルギー・機能材料や情報電子化学でプラスとなっております。一方で、前年同期に事業譲渡益を計上いたしました医薬品、そして当期に定期修理の影響がありました石油化学などがマイナスとなっており、全体では114億円のマイナスとなりました。
石油化学セグメント (対前年同期実績)
続きまして、各セグメントごとの業績概要をご説明いたします。7ページをご覧ください。最初に石油化学のセグメントでございます。
売上収益は5,769億円で、前年同期と比べて803億円の増収となりましたが、コア営業利益につきましては518億円で、前年同期比189億円の減益となりました。売上収益は、原料価格の上昇によって全体的に製品市況が上昇したことや、ラービグ製品の出荷増加の影響で増収でございました。
一方、コア営業利益は、メタアクリルやカプロラクタムといった合成繊維の原料の交易条件が改善いたしました。ただ、石油化学品や合成樹脂の交易条件が悪化しているということに加えて、千葉工場やシンガポールにおける定期修理の影響や、前年同期にライセンス収入を計上したということがありましたので……これは一時的なマイナス要因ですが、そういったことも含めて減益となりました。
エネルギー・機能材料セグメント (対前年同期実績)
次に、エネルギー・機能材料部門でございます。売上収益は2,147億円となり、前年同期比で269億円の増収でございました。コア営業利益も202億円となり、前年同期に比べて43億円の増益ということで、この部門は増収増益となりました。
売上収益につきましては、アルミニウムなどの市況が上昇したこと。また、リチウムイオン二次電池用のセパレータや正極材の前駆体、高純度アルミナなどの出荷が増加しており、増収の要因となっています。
コア営業利益は、石油化学と同様に、一部千葉工場の定期修理の影響を受けてはおりますけれども、おもに各製品での出荷数量の増加に伴い増益でございました。
情報電子化学セグメント (対前年同期実績)
情報電子化学部門の売上収益は3,009億円となり、前年同期比で143億円の増収でした。コア営業利益は223億円となり、こちらも前年同期比で87億円の増益でございます。エネルギー・機能材料部門と並び、増収増益の結果となっております。
売上収益は、販売価格面では偏光フィルムの販売価格が下落しております。ただ、数量面で偏光フィルムの出荷が増加したため、全体では増収となっています。
コア営業利益につきましては、販売価格の下落というマイナス要因を、出荷数量の増加や合理化等のコスト削減によるプラス効果が上回り、全体では増益となりました。
健康・農業関連事業セグメント (対前年同期実績)
健康・農業関連事業セグメントの売上収益は2,127億円となり、前年同期に比べて35億円の減収でございます。コア営業利益は39億円ということで、前年同期に比べ、147億円とやや大幅な減益となりました。
売上収益は、南米やアジアにおいて農薬の出荷が増加いたしました。一方で、やはりメチオニンの市況の下落により大きく減収となりました。
また、先ほど全体のところで新興国通貨(安の影響)について申し上げましたけれども、とくにインドルピーやブラジルレアルなどの通貨安の影響を受け、海外子会社の邦貨換算差(でマイナス)の影響があったため、これもあわせて減収の要因となっております。
コア営業利益は、原料価格の上昇や、持分法適用会社であるオーストラリアのニューファーム社の業績悪化により減益となっております。
医薬品セグメント (対前年同期実績)
医薬品セグメントでございます。売上収益は3,718億円となり、前年同期比で86億円の減収です。コア営業利益は593億円で、こちらも前年同期比で223億円の減益となりました。
売上収益では、非定型抗精神病薬「ラツーダ」や抗てんかん剤「APTIOM」といった北米での主力剤については出荷が増加しております。一方、国内では、薬価改定や長期収載品の出荷減少の影響などがあり減収となっております。
コア営業利益は、薬価改定の影響がありました。これは売上収益だけでなく、直接損益にも影響しております。また、北米における販売費の増加もありました。
さらに、特殊な要因ですが、前年に事業譲渡益を多額に計上したことがございます。これは一時的なマイナス要因ですが、そういったことも含めて前年比で減益となりました。セグメント別の業績概要の説明は以上です。
非経常項目内訳
非経常項目の内訳です。日本基準でいいますと、いわゆる特別損益にあたる部分でございます。非経常項目のおもな中身と金額につきましては、スライドに載せております。先ほど冒頭で申し上げておりますので、(説明は)割愛させていただきます。
連結財政状態計算書
連結財政状態計算書の内容をご説明いたします。2018年12月末の総資産の残高は、3兆2,705億円となり、前期末と比べて2,018億円増加いたしました。おもな増加要因は、ご覧いただければわかりますように、棚卸資産の増加、有形固定資産の増加といったところかと思います。
有利子負債は9,668億円となり、前期末に比べて1,247億円増加いたしました。資本の部は、1兆3,286億円となり、前期末に比べて764億円増加いたしました。これはおもに利益剰余金が増加したものでございます。
この結果、12月に総資産が増加したという特有な要因もございますが、親会社所有者帰属持分比率、いわゆる自己資本比率が29.9パーセントとなり、30パーセントを切って、0.3ポイント悪化となりました。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローについてご説明いたします。14ページをご覧ください。営業キャッシュ・フローは683億円の収入となり、前年同期に比べて収入が829億円減少いたしました。営業利益の減少や、運転資金の増加がおもな要因でございます。
投資キャッシュ・フローは1,295億円の支出となり、前年同期に比べて支出が167億円増加いたしました。これはおもに固定資産の増加取得による支出が増加したことが要因でございます。
結果として、フリー・キャッシュ・フローは612億円の支出となり、前年同期の385億円の収入と比べますと、支出が997億円増加しております。
財務キャッシュ・フローは685億円の収入となり、前年同期と比べて収入が538億円増加いたしました。第3四半期の業績の概要につきましては、以上でございます。
最後に、通期の業績予想について、若干コメントをさせていただきます。通期の業績予想につきましては、(2018年)5月に決算を発表した際から、数値を変更しておりません。
第3四半期の業績は、年間予想に対する進捗率で、売上収益は69パーセント、コア営業利益は65パーセント、当期純利益は68パーセントと、進捗率としてはやや低い数値となっております。ただ、当社は第4四半期が農薬の需要期であり、販売も(第4四半期に)集中することから、全体としてはまずまずの進捗ではないかと感じております。
セグメント別には、石油化学、エネルギー・機能材料、情報電子化学は堅調に推移しております。一方、健康・農業関連事業、医薬品はやや低調ですが、これは出荷のずれの要因、あるいは経費のずれの要因がおもなものでございますので、第4四半期で相当程度取り戻せるものと見込んでおります。
ただ、足元では米中の貿易摩擦の影響などの懸念材料がございます。健康・農業関連事業は出荷の集中を見込んでおりますが、結果を見ないとまだわからないということもあり、業績が見通しにくいというところはございます。
しかしながら、先ほど申しましたように、第4四半期は集中した出荷がありますので、全社の年間予想はなんとか達成したいと考えております。以上のことから、年間業績予想については据え置くことといたしました。
今後につきましては、当社は季節性の強い部門もあるということを先ほど申し上げました。また春節前後の需要の動向も、これからの変動要因になろうかと思います。セグメント別の入り繰りもありますので、最新の動向を見極めながら、必要に応じて業績予想の内訳の修正を行うこともあろうかと思います。
決算についての説明は以上でございます。みなさまからのご質問を承りたいと思います。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。