千葉県野田市のマンションで、小学校4年生の栗原心愛(みあ)ちゃんが父親の勇一郎容疑者の虐待により、死亡してしまったとても痛ましい事件。

心愛ちゃんが助けを求めたアンケートのコピーを、学校側が勇一郎容疑者に渡してしまったことや、児童相談所が心愛ちゃんの「お父さんに叩かれたのはウソ」という手紙を勇一郎容疑者に書かされたと認識していたのに見過ごしたことなど、新しい事実も浮かび上がってきています。

そして2月4日には、母親のなぎさ容疑者も虐待に加担していたとして勇一郎容疑者と同じ傷害容疑で逮捕されました。心愛ちゃんが勇一郎容疑者に虐待されていることを認識していたにも関わらず、その虐待を止めなかったことが「虐待していたことと同じ」と見なされたのです。この、なぎさ容疑者については非難もあると同時に、その逮捕には疑問の声もあるようです。

勇一郎容疑者からDVを受けていたなぎさ容疑者

なぎさ容疑者は、勇一郎容疑者から日常的にDV(ドメスティック・バイオレンス)を受けていたことがわかっています。なぎさ容疑者は警察に、「娘が暴力を振るわれていれば、自分が被害に遭うことはないと思った」と供述しているといいます。

この供述に対しては、「心愛ちゃんを見殺しにした」「父親に暴力を受け、学校にも見放され、心愛ちゃんが頼ることができたのは母親だけだったのに」という非難の声もあります。確かに、なぎさ容疑者が心愛ちゃんを助けることができなかったことは事実です。

しかし、DVという精神的、肉体的な暴力と支配を受けていたことで、正しい判断と行動ができなかったということもあるのではないでしょうか。最悪の事態にならないよう、なぎさ容疑者が心愛ちゃんと1歳の次女、そして自分自身を守るためにできたことは、勇一郎容疑者から逃げ出すという選択肢しかなかったでしょう。

しかし、なぎさ容疑者の外出や携帯電話を逐一チェックして支配していたという勇一郎容疑者に気付かれないように、2人の子どもを連れて逃げだすというのは至難の技でしょう。それができなかったために逮捕に至ってしまったというのは酷な話であるようにも思えます。

自分自身も同じように暴力を受けていたなぎさ容疑者が、勇一郎容疑者の心愛ちゃんへの虐待を止めることができなかったことが罪になり、勇一郎容疑者への恐怖からアンケートのコピーを渡した学校側や虐待を見過ごした児童相談所が罪にならないことは、SNS上などでも波紋を呼んでいるようです。

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