この記事の読みどころ
9月21日(月)23:00に発表予定の米中古住宅販売件数は、景気動向に対して先行性が高く株式市場でも注目度の高い経済指標です。
短期的には米不動産株への影響が大きいのみならず、個人消費さらには景気動向全体を読むうえでも重要な指標です。
米国内の中古住宅販売市場は、新築住宅販売市場の約10倍の規模があります。
9月21日(月)23:00発表予定の米中古住宅販売件数の動向に注目
9月21日(月)23:00に発表予定の米中古住宅販売件数は、景気動向に対して先行性が高く、株式市場でも注目度の高い経済指標です。
8月の市場予想は550万戸(前月比-1.6%)となっています。市場予想を上回る場合、短期的に米不動産株の上昇に寄与するでしょう。また、住宅市場の底堅さは、個人消費さらには景気全体に対する支援材料ともなります。
なぜ新築ではなく中古住宅販売件数に注目するのか
日本のみなさんは、なぜ、新築住宅販売件数ではなく、中古住宅販売件数を見るのかと思われるかもしれません。これは、米国の中古住宅販売件数が、新築住宅販売件数の約10倍の規模になるからです。
一般的な米国人は、可処分所得の上昇や、家族構成の変化等に伴い住宅を転売していきます。また、先進国の中でも、中古住宅市場が法的に整備されていることも後押しになっています。
ただし、統計の発表のタイミングにより、新築住宅販売件数の方が一段と先行性が高いことは事実ですので、頭の片隅に置いておいてください。
なぜ新築ではなく中古住宅販売件数が景気の先行指標といえるのか
みなさんが中古住宅を購入することを想像してみてください。中古住宅を購入する際には、リフォーム等で建築資材が必要となることがあるでしょう。住宅ローンを組む方もいらっしゃるでしょう。そして、家具・寝具類・家電製品も買いたくなりますね。
したがって、中古住宅販売件数は個人消費の先行指標ともなりえるのです。米国の場合、個人消費はGDPの約70%を占めているため、中古住宅販売件数は個人消費の先行指標、さらには景気全体の先行指標としても重視されるのです。
過去の米中古住宅販売件数のおさらい
米中古住宅販売件数の動向は議論を呼ぶ経済指標なので、グラフを見ながら簡単におさらいしておきましょう。
2000年代前半から2006年にかけて過熱したバブルが同年半ばに頭打ちとなり、2007年に顕在化したサブプライムローン問題後、市場は急速に崩壊しました。その後、2009年初頭の住宅ローン金利の低下に加え、2009年1月からは米国政府が住宅一次取得者(過去3年間に住居を取得していなかった者)に対し、住宅を購入すれば8000ドルを上限に税額控除する制度を開始。当初、2009年11月末を期限としたものの、結局2010年4月まで延長され、対象者の範囲も住宅既保有者にまで拡大されました。その後、中古住宅販売件数は概ね回復傾向にあり、前回の2015年7月値は、約8年5か月ぶりの高水準となっています。
米中古住宅販売件数の推移(季節調整済み年率)
(単位:千戸)
【参考情報】米中古住宅販売件数の基礎知識
そもそも、米中古住宅販売件数とは?
全米不動産業協会(NAR:The National Association of Realtors)が、翌月25日前後(例:8月のデータは9月25日前後)に発表(します。
全米及び4つの地域別(北東部・中西部・南部・西部)の中古一戸建て住宅の販売件数・販売価格(中央値)・在庫が公表されます。また、一戸建てに加え、コンドミニアムと共同住宅を含めた統計も公表されます。
※元データの確認は、全米不動産業協会のウェブサイトをご参照ください。
【2015年9月21日 投信1編集部】
■参考記事■