夏の暑さも和らぎ、少しずつ秋の気配が感じられる9月です。この時期、今後のキャリアプランや人生設計について考える人も多いかもしれません。
その中でも特に重要なのが、誰もが迎える老後の生活です。平均寿命が延び、人生100年時代といわれる現代において、健康上の問題で日常生活に制限が生じる期間が平均で10年前後もあるという事実は見過ごせません。この期間に必要となる医療費や介護費用は、老後の家計を大きく圧迫する可能性があります。
本記事では、公的データを基にシニア世代のリアルな経済状況を浮き彫りにします。貯蓄額のばらつきや、多くの世帯で生活費が赤字になっている現状を知ることで、老後を見据えた具体的な資産形成の必要性を再認識できるでしょう。
未来の自分を経済的に支えるための第一歩を踏み出しましょう。
1. 健康寿命と平均寿命のギャップは?
厚生労働省発表の「令和5年 簡易生命表」によると、2023年時点の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳です。
また、総務省の「2024年(令和6年)労働力調査」(2025年1月公表)によると、全就業者数6781万人のうち「65歳以上の就業者数」は前年に比べて16万人増加の930万人で、働くシニア層は年々増えていることがわかります。
一方で、2022年時点での健康寿命(※)は、男性72.57歳、女性75.45歳です。平均寿命と健康寿命の間には、男女ともに大きなギャップが存在します。男性は約8.5年、女性は約11.7年もの間、健康上の問題で日常生活が制限される可能性があるのです。この期間は、医療費や介護費といった経済的な負担が増加する可能性あります。そのため、現役時代からこの「健康ではない期間」に備えた計画的な準備を考えることが非常に重要になります。
※健康寿命とは:「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。
働くシニア世代を後押しする仕組みは整いつつあります。しかし、医療費や介護費などがかさむ世代でもあるため、健康面での不安を感じることも増えるのではないでしょうか。