4. 【年金制度の改正】今の高齢者の暮らしに影響はある?

2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。

今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。

4.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》

社会保険の加入対象の拡大

  • 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)

在職老齢年金の見直し

  • 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ

私的年金制度

  • iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
  • 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

こうした内容からも、公的年金は現役世代・シニア世代どちらにとっても、働き方や生活設計に深く関わる制度であることがわかります。

5. 【もらい忘れがないように】自分はもらえる対象か確認を

今回の記事では、老齢年金や雇用保険に関連する、申請しないと受け取れない5つの制度について解説しました。公的な支援制度は、複雑に感じてしまうかもしれませんが、知っているか知らないかで受け取れる金額に大きな差が出ることがあります。

自分は支給対象者に当てはまるのか、まずは確認してみることをおすすめします。また、年金事務所の窓口や、年金・お金の専門家に相談することで、安心して手続きを進めることができます。もらえるはずのお金を逃さないように、ぜひ前向きに検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

村岸 理美