40代に入った独身女性の多くが感じる「将来への不安」。女性特有の病気リスクが高まり、老後資金への備えも現実的な課題となる年代です。一方で、これまでの保険が現在のライフスタイルに合わなくなっているケースも少なくありません。

本記事では、40代独身女性が直面する6つの主要リスクと、それぞれに最適な保険選びのポイントを、保険のプロがわかりやすく解説します。

1. 40代独身女性が直面する保険の必要性

40代は女性にとって健康面での転換点となる年代です。乳がんをはじめとする女性特有のがんの発症リスクが急激に高まり、治療期間の長期化や医療費負担の増加が懸念されます。また、ホルモン剤治療が数年にわたって必要になるケースも多く、経済的な備えが重要になります。

1.1 独身女性特有の保障の考え方

独身女性の場合、死亡保障は比較的優先度は低いですが、自分自身の医療費や生活費をカバーする保障は重要です。特に収入が途絶えた場合の影響は大きく、公的保障だけでは不十分なケースが多いのが現実です。

2. リスク別:40代独身女性が備えるべき6つの保障

具体的に40代の独身女性にはどのようなリスクに対して、保障を用意していないといけないのかを見ていきましょう。

2.1 1. 医療リスクへの対策

年収500万円の会社員が1年間治療に専念した場合、高額療養費制度を利用しても約66万円の医療費がかかる可能性があります。加えて、個室を利用するとなると差額ベッド代は1日平均8322円掛かります。

また、収入減少のリスクも無視できません。仮に1年間休職し傷病手当を受け取ったとすると、収入は3分の2になるため、約176万円の収入減少となります。

医療費負担のリスクには、民間の医療保険やがん保険で備えておくとよいでしょう。特に女性特有のがんの治療は通院でも行うことが多いため、入院に備える医療保険だけでなく、がん治療全般をカバーできるがん保険の検討がおすすめです。

先進医療の経済的リスク

がん治療における先進医療は全額自己負担となり、数百万円の費用が必要になるケースもあります。技術の進歩により選択肢は増えていますが、経済的な備えがなければ最適な治療を諦めざるを得ない状況も考えられます。

医療保険に先進医療特約を付加しておくことで、先進医療にかかった技術料を全額保険でカバーすることができます。

2.2 2. 女性特有のがんリスク

2019年のデータによると、40代女性の乳がん罹患者数は17693人、子宮に関するがんは合計12815人となっています。40代後半は乳がんの罹患者数が最も多い年代の一つで、早期の備えが重要です。

女性特有のがんに手厚く備えておくためには、医療保険やがん保険に女性特約を付加したプランがおすすめです。保障範囲や保障額は商品によって異なるため、加入前に複数社で比較しておくのが良いでしょう。

治療費と期間の実態  

乳がんの1入院費用は平均79万2376円(1日単価10万6705円)、子宮筋腫では78万8447円(1日単価12万9400円)となっています。年収370~770万円の場合、月額自己負担限度額は8~10万円程度ですが、治療期間が長期化すれば総額は相当な金額になります。

2.3 3. 就業不能となったときのリスク

傷病手当金は給与の約2/3を通算1年半保障しますが、社会保険料は免除されないため手取り額はさらに減少します。また、フリーランスや自営業者は傷病手当金の対象外のため、働けないリスクはより深刻です。

働けなくなった時の収入減少に備えるには、就業不能保険の検討がおすすめです。保険会社によって、働けなくなってから何日目で給付金を受け取れるかや、保障対象になる疾病に違いがあるため、検討段階でしっかり確認しておきましょう。

2.4 4. 老後資金が不足するリスク

独身女性にとって、老後資金の確保は大きな課題です。総務省の2023年度家計調査報告によると、65歳以上単身者の平均支出額14万5430円に対し、平均可処分所得は11万4663円です。月間約3万円の不足が22年間続くと仮定すると、約800万円の老後資金不足が見込まれます。

国民年金のみの場合はさらに深刻で、月平均5.6万円の年金では大幅な生活費不足となります。個人年金保険やNISA、iDecoなどを利用して、計画的に老後資金形成に取り組んでおくことが大切です。

2.5 5. 介護費用のリスク

女性は男性と比べて平均寿命が長い傾向にあるため、その分介護リスクにも注意が必要です。生命保険文化センターの調査によると、月々の介護費用平均は8.3万円、一時的な費用は平均74万円です。介護期間は平均5年を超え、約半数が4年以上の期間を要しています。

介護にかかる費用も貯蓄で賄うことができれば問題ないですが、経済的に不安がある場合は民間の介護保険を検討するのも選択肢のひとつです。

2.6 6. 終活費用リスク

「第5回お葬式に関する全国調査」によると、2022年の葬儀費用全国平均は110.7万円です。家族葬など小規模な形式では費用を抑えられますが、一般的な葬儀では相応の費用が必要になります。

独身女性にとって大きな額の死亡保障は必要性が低いですが、家族のために葬儀費用だけでも残してあげたい人は、数百万円程度の死亡保険に加入しておくと安心です。