7. 医療費は年齢とともに高くなるので注意が必要です
支出のうち医療費に注目してみましょう。
厚生労働省の統計によると、1人あたりの医療費は年齢が上がるほど大きくなり、70代で60万円を超え、90歳以上では100万円を優に超える水準となっています。
特に80歳を境に入院や生活療養の比率が高まり、医療費の大半を占めるようになります。高齢になるにつれて期には長期入院や療養に伴う支出が加わるため、費用は一気に膨らむ傾向にあるのです。
このように、加齢とともに医療費が生活に与える影響は無視できず、老後の家計を考える上で大きな誤算となることも多いため注意が必要です。
8. 医療や介護などの急な支出への備えも考えていきましょう
年金に上乗せとなる年金生活者支援給付金について見ていきました。
物価高騰が続く中、年金のみでは生活が苦しいと感じる世帯にとってはありがたい制度と言えるでしょう。
「給付金が上乗せされるならば年金のみで生活できるのでは」と思う人もいるかもしれません。
しかし、医療や介護などの急な支出が発生することで、一気に生活が立ち行かなくなることも考えられます。
そのため、現役世代のうちから医療費リスクを考慮に入れた備えも意識しておくのも良いでしょう。
無理のない範囲で備えを組み合わせていけば、老後生活に対する不安も少しずつ安心に変えられるのではないでしょうか。
9. 【ご参考】10月初めて受け取る方へ「年金額改定通知書」「年金振込通知書」の見方
「『年金額改定通知書』『年金振込通知書』(年金受給者用:はがきサイズ)」について、その中身を確認しましょう。
「『年金額改定通知書』『年金振込通知書』(年金受給者用:はがきサイズ)」では、「年金額改定通知書」部分で2025年度の「国民年金(基礎年金)と厚生年金保険の年金額の合計額(年額)」が確認できます。
「年金振込通知書」部分の「年金支払額」欄では1回に支払う年金額(控除前)を、「控除後振込額」では年金額から社会保険料等(社会保険料、所得税額および復興特別所得税額、個人住民税額および森林環境税額)を差し引いたあとの振込金額を、それぞれ確認することができます。
参考資料
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「『年金額改定通知書』と『年金振込通知書』(年金受給者用:はがきサイズ)」
三石 由佳