3. 口座凍結後でも出金手続きはできる

とはいえ、「親の口座から葬式費用を引き出したい」というケースも多いでしょう。その場合は、「遺産分割前の相続預金の払戻し制度」を使って出金が行えます。

この制度は、葬式費用や当面の生活費用などでお金が必要になったときに相続手続きが完了する前でも引き出しができるものです。亡くなった方や相続人の戸籍謄本を提出する必要はあるものの、先に出金を行いたい場合はこの制度が活用できないか銀行へ相談してみることがおすすめです。

ただし、この制度で引き出しができるのは、1つの金融機関につき150万円までです。また、後々のトラブルを防ぐために、出金した資金の使い道は相続人できちんと共有しておきましょう。

4. 万が一のときの費用は日頃から話し合っておこう

人が亡くなった後は葬式費用にお寺へのお布施、病院の入院費用などまとまった費用が多く発生します。銀行口座が凍結されると引き出すまでに時間がかかるため、費用の工面に苦労するケースも少なくありません。

いざというときに困らないためには、日頃から家族間で万が一のときの費用について話し合っておくことが大切です。たとえば、「葬儀費用を事前に生前贈与しておく」「生命保険ですぐに受け取れるようにしておく」といった対策が考えられます。

亡くなった後の話は、両親が元気なうちだからこそ話し合えることでもあります。ぜひ次回の帰省は、両親の終活について家族で話し合ってみましょう。

参考資料

椿 慧理