今回の調査では、パートナーとの関係がうまくなっていないカップルほど「オンラインでパートナーの動向を追うことがよくある」「パートナーのオンラインのアクティビティは自分も知るべきだと思う」「パートナーが何か隠しているように感じる」と回答する割合が高くなっています。

相手を信頼できないから、デジタル行動をオープンにするように望むのか、相手と信頼し合っているという充足感を得るために多くをシェアしたいと感じるのか、それとも相手のデジタル行動そのものに不満があるのか。

カップルによってその理由は異なるのでしょうが、「お互いのオンライン上の行動をどこまで知るのか」という点で価値観の違いが生じた場合、カップルに気まずい雰囲気をもたらすことがあるようです。

別れても相手の動向が「見えてしまう」というデメリット

婚姻期間中や付き合っている間は冷静に話し合いをすることもできますが、残念ながら別れてしまった場合、相手にまつわる情報の扱い方については、2人でルールを共有するのがさらに難しい問題となっています。

カップルが別れた後、半数の男女は相手の情報や画像を全て削除しています。仮にこれが「美しい別れ方」だとすると、別れた後に一筋縄ではいかないケースも多数あるようです。

たとえば、「自分がアクセスできる相手のアカウントで相手を見張った」と回答した男性は23%、「復讐として相手の個人情報を公開した。または公開したいと思った」と回答した男性は17%となっています。

今回の調査では、別れた後、男性の方がオンラインでの攻撃的な衝動を抱える割合が多い傾向にありました。じっくりと話し合うことができなくなったカップルが別れた後のプライバシーの扱い方は、時に一方が頭を抱えるような深刻な問題となる可能性があるようです。

以上、今回はオンライン上のプライバシーとカップルの関係についてお届けしました。お金や住まい、子どものことなど、ただでさえすり合せていかなければならないことが多い夫婦や恋人たち。お互いのプライベートを尊重しようとしても、時々「見たくないものが意図せず見えてしまう」ということがあるからこそ明確なルール作りは難しいものです。

交際中はグレーな部分を許容しながらのルール作りを、別れた後は、お互いが納得する一線を探ることが重要だと言えそうです。

【参考】
パートナーとの関係性とデジタルプライバシーに関するグローバル調査」(カスペルスキー)

北川 和子