秋風が心地よい季節になってきましたね。今月10月15日は今年5回目となる年金支給日が予定されています。シニア世代の生活設計を考えるうえで気になるのが「毎月の生活費はいくら必要か」「年金や貯蓄で足りるのか」という点ではないでしょうか。

総務省や厚生労働省の最新データによると、65歳以上の無職夫婦世帯は、年金を中心に暮らしながらも毎月の家計は赤字傾向にあります。一方で、平均貯蓄額は2500万円を超えており、世帯ごとの資産状況には大きな差があることも分かります。

今回は、家計収支・貯蓄・年金の実態を整理し、これからの生活設計に役立つポイントを解説します。秋の夜長にぜひお付き合いください。

1. シニアの家計、65歳以上の年金暮らし夫婦「毎月の生活費はいくらぐらい?」

総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要(※)」をもとに、65歳以上無職夫婦世帯のひと月の家計収支データを見ていきます。

※2025年3月11日公表

1.1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯「ひと月の生活費はいくら?」

毎月の実収入:25万2818円

■うち社会保障給付(主に年金):22万5182円

毎月の支出:28万6877円

■うち消費支出:25万6521円

  • 食料:7万6352円
  • 住居:1万6432円
  • 光熱・水道:2万1919円
  • 家具・家事用品:1万2265円
  • 被服及び履物:5590円
  • 保健医療:1万8383円
  • 交通・通信:2万7768円
  • 教育:0円
  • 教養娯楽:2万5377円
  • その他の消費支出:5万2433円
    • うち諸雑費:2万2125円
    • うち交際費:2万3888円
    • うち仕送り金:1040円

■うち非消費支出:3万356円

  • 直接税:1万1162円
  • 社会保険料:1万9171円

毎月の家計収支

  • 3万4058円の赤字

この世帯の場合、ひと月の支出はトータルで28万6877円。内訳は、社会保険料や税などの「非消費支出」が3万356円、いわゆる「生活費」にあたる消費支出が25万6521円です。

一方で、ひと月の収入は25万2818円。その約9割(22万5182円)を社会保障給付(主に公的年金)が占めますが、結果的には毎月3万4058円の赤字となります。貯蓄の切り崩しなどでカバーすることが必要となるでしょう。

ただし上記の支出の内訳には「介護費用」が含まれておらず、住居費も1万円台となっており、世帯によってはさらにまとまった支出が発生する可能性があります。

貯蓄の取り崩しや不労所得などでカバーする必要がある世帯は少数派ではないでしょう。