5. 【2025年度】公的年金と年金生活者支援給付金はそれぞれ増額改定
2025年度は、物価や賃金の上昇を考慮し、公的年金の受給額が前年度比で1.9%増額されました。
あわせて、「年金生活者支援給付金」についても、給付基準額が前年度から2.7%引き上げられています。
「年金生活者支援給付金制度」は、前年度の所得が一定基準を下回る年金受給者を対象に、公的年金に上乗せして給付される制度です。
対象者には、老齢年金・障害年金・遺族年金の各受給者が含まれ、それぞれに支給要件が設けられています。
- 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5450円(+140円)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級6813円(+175円)・2級5450円(+140円)
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5450円(+140円)
実際の支給額は、上記の給付基準額をもとに、保険料納付済期間などに応じて計算されます。
なお、「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2024年3月における平均給付月額は以下のとおりです。
- 老齢年金生活者支援給付金:4014円
- 障害年金生活者支援給付金:5555円
- 遺族年金生活者支援給付金:5057円
6. 将来の年金に備えて、今できることとは?
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と「厚生年金」の2階建て構造で成り立っており、現役時代の収入や加入期間に応じて将来の受給額が決まります。
2025年度は、年金支給額や「年金生活者支援給付金」の基準額が引き上げられましたが、物価上昇や生活費の増加を踏まえると、年金だけで十分な生活資金を確保するのは難しいケースも少なくありません。
将来に備えるためには、まずご自身の見込年金額を正確に把握することが重要です。
そのうえで、早めに資産形成を始める、支出を見直す、利用可能な公的給付制度を活用するなど、計画的な備えを進めていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金額改定通知書」と「年金振込通知書」(年金受給者用:はがきサイズ)
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
加藤 聖人