7. 「申請しないともらえない」請求手続きとタイミング
「年金生活者支援給付金」の対象となる人には、通知を兼ねた請求書が日本年金機構から郵送されます。届いた人は、氏名など必要事項を記入して返送しましょう。
年金の受給状況により、請求書送付のタイミングや形式が異なります。いつ発送されるのかなど、ここでは該当者が多い2つのパターンについて紹介します。
7.1 「新規に老齢年金を受け取り始める人」が年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、年金受給に必要な「年金請求書(事前給付用)」に同封されて給付金請求書が届きます。
同封されている給付金請求書に必要事項を記入し、受給開始年齢の誕生日の前日以降、年金事務所に年金の請求書と併せて提出しましょう。
7.2 「すでに年金を受給中」で、新たに年金生活者支援給付金の支給対象となった場合
毎年9月の第1営業日以降、「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。請求書の必要事項を記入し、切手を貼付の上ポストに投函すれば手続き完了です。
なお、すでに年金を受け取っている人の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なるため注意しましょう。
8. 「いつからもらえる?」申請後の流れ
「年金生活者支援給付金」を請求後、実際にいつからが支給対象となるのでしょうか。
「年金生活者支援給付金」の支給対象となるのは、原則として「手続きをおこなった翌月分」からです。
ただし、新規に基礎年金の受給権を得た人の場合は異なるため注意しましょう。
受給権を得た日(※)から3カ月以内に「年金生活者支援給付金」の認定請求の手続きをおこなうことで、年金の受給権を得た日に「年金生活者支援給付金」の認定請求の手続きもおこなったものとみなされるため、さかのぼって支払われます。
受給権を得た日から3カ月を過ぎた場合は、手続きをおこなった翌月分から支給対象となります。もらいそびれないためにも、申請書類は早めに提出しましょう。
※老齢基礎年金の繰上げ受給中の人は、65歳到達の日。老齢基礎年金の繰下げ受給を選択する人は、繰下げの申出を行った日。
9. 【年金制度改正法】「誰に、どんな影響がある?」ポイント解説
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
9.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》
社会保険の加入対象の拡大
- 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
- 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消
- 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
- iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
- 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
- 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持っていることがわかります。