3. 企業年金・iDeCoの「受け取り方」で老後の資金効率が変わる
企業年金やiDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分専用の年金を用意できる制度です。「一時金受け取り」「年金受け取り」などを選択できるため、自身に適した受取方法を考えておきましょう。
なお、企業年金の受取方法は規程によって異なるため、就業規則や退職金規程などを確認しておきましょう。
3.1 一時金受け取り
一時金受け取りが向いている人は、退職所得控除を最大限活用できる人です。退職所得控除は控除枠が大きく、「受取額<退職所得控除」であれば、満額をそのまま受け取れます。
また、一時金の場合は「退職所得」に分類され、翌年の社会保険料に影響しません。年金受け取りの場合と比較して、手元に多くの資金を残しやすい受取方法といえるでしょう。
ただし、まとまったお金を自分で管理しなければならない点に注意が必要です。退職金を当面使う予定がなく、NISAの非課税投資枠が余っている場合は、NISAを活用して非課税で運用するとよいでしょう。
3.2 年金受け取り
年金受け取りが向いているのは、公的年金の受給額が少なく、安定した収入を長期間確保したい人です。
国民年金のみの方は年金額が少ないため、繰下げ受給を選択して年金額を増やす方法が考えられます。待機中の生活費を工面する目的で、企業年金またはiDeCoを年金で受け取るとよいでしょう。
ただし、年金で受け取る場合は「雑所得」に分類され、他の年金収入と合算して課税されます。また、社会保険料にも影響を与える点に注意が必要です。
働きながら給与所得や事業所得を得る場合、税金や社会保険料の負担が重くなる可能性がある点に留意しましょう。
3.3 併用受け取りも可能!その特徴とは?
一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。これにより、それぞれの控除制度を活用しながら、税負担を最小限に抑えつつ、必要な時期に必要な金額を確保できます。
例えば、まとまった支出を工面する分だけ一時金で受け取り、残りは年金で受け取る方法があります。資金ニーズに対して、柔軟に対応できる点は、併用受け取りのメリットです。
適した受取方法は、公的年金の受給額や何歳まで働く予定か、退職時の資産額はいくらかによって異なります。今後のライフプランに加えて、税制上の優遇措置などを総合的に考慮しましょう。