日本の貯蓄の金額はどのような分布になっているのでしょうか。今回は総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」のデータを使い、貯蓄額の分布がどうなっているのかをみていきたいと思います。
世代別の貯蓄額の分布
早速、同調査の「世帯主の年齢階級別貯蓄・負債現在高,負債保有世帯の割合」をみていきましょう。
全体の貯蓄現在高(貯蓄額)の平均をみると、1812万円。
まずは、「そんなに貯蓄があるのか」と驚かれる方もいるかと思います。
しかし、この金額は平均値ですので、極端に大きな貯蓄がある世帯が含まれていると、平均値はそうした値に引きずられて、高く出てしまうという点には注意が必要です。
さて、世代別に貯蓄現在高を見ていくと、年齢とともに貯蓄額が右肩上がりに上昇していることが分かります。
- 40歳未満:602万円
- 40代(40-49歳):1074万円
- 50代(50-59歳):1699万円
- 60代(60-69歳):2382万円
- 70代以上:2385万円
世代別の負債額はどうなっているのか
一方、負債現在高(負債額)をみると全世帯の平均金額は517万円。
世代別の負債現在高では以下のようになっています。
- 40歳未満:1123万円
- 40代(40-49歳):1055万円
- 50代(50-59歳):617万円
- 60代(60-69歳):205万円
- 70代以上:121万円
負債に関しては、貯蓄額とは反対で、年齢とともに減少していくことが分かります。
特筆すべきは40歳未満の貯蓄と負債の割合です。負債額が1123万円と貯蓄額の602万円と比較すると、ネット貯蓄(貯蓄現在高-負債現在高)はマイナスの状態になっていることが分かります。
ちなみに、負債保有世帯の比率を世代別にみると以下のようになっています。
40代では、負債保有比率が65%程度に及びます。また、50代でも半分の世帯で負債を抱えています。
- 40歳未満: 59.3%
- 40代(40-49歳):64.8%
- 50代(50-59歳): 53.2%
- 60代(60-69歳): 26.3%
- 70代以上: 11.4%
もっとも、負債は住宅ローンなどによるものだと推測でき、貯蓄額には不動産は含まれていないため、家計のバランスシート全体考える際には、不動産の評価を考慮する点は注意が必要です。ネット貯蓄がマイナスだからといって必ずしも家計が債務超過ではないということです。
世代別の貯蓄額の分布で見えてくるもの
上記の世代別の貯蓄額・負債額の分布をみることで、下記のような日本の家計の資産状況が見えてきます。
50歳から60歳にかけて一気に負債額が減少する
負債保有世帯の割合をみると50代では53.2%になっていますが、60代では26.3%とおよそ半減していることが分かります。これは住宅ローンの完済組がこの年代に多いことからであると考えられます。
50歳から60歳にかけて一気に貯蓄額が増加する
40代では1074万円、50代では1699万円、60代では2382万円と貯蓄額が50代から大きく増加しています。これは住宅ローン(負債)がなくなっただけではなく、子供の教育費にもお金がかからなくなったこと等が要因と考えられます。
まとめにかえて
今回は世代別の貯蓄額の分布を総務省統計局の「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」を分析することでみてきました。
現状の日本の家計の資産状況から、比較的若い世代では負債が一旦増え、その後貯蓄が増えながら負債が減少していく傾向が見て取れます。
もっとも、今の50代とこれからの50代が同じようになるという保証はありません。給与が増えなければなりませんし、確定拠出年金なども含めて、退職金の制度も変わりつつあります。したがって、これまで通りということではないでしょう。
パーソナル・ファイナンスをしっかりと見つめ直し、キャッシュフローとバランスシートをコントロールできるようにしたいものです。
参考にした資料
総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-平成29年(2017年)平均結果-(二人以上の世帯)」
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LIMO編集部