6. 【家計の豆知識】「エンゲル係数」とは?
先ほど触れた65歳以上の夫婦の家計で話題になった「エンゲル係数」について、なぜ家計状況を把握する上で役立つのか、改めて説明します。
エンゲル係数とは、家計の消費支出(つまり生活費)のうち、食費が占める割合を示す指標で、その計算は非常に簡単です。
エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)
一般に、エンゲル係数が高いほど、家計の食費割合が大きく、生活水準が低い傾向があり、これは収入が少ないほど必需品である食費が支出全体に占める割合が増えるためです。
反対に、収入が多くなると教育費や娯楽費、交通費など多様な支出が増えるため、エンゲル係数は低くなる傾向にあります。
ただし、年齢や家族構成によっても食費の割合は変わるため、一概に比較する際は注意が必要です。
たとえば、子育て世帯では成長期の子どもの食費が増え、エンゲル係数が高くなることがあります。
一方、高齢の単身世帯では食費の額は少なくても、他の支出も抑えている場合にエンゲル係数が高くなることもあります。
エンゲル係数が急激に上がったときは、食費が増えたのか、他の支出を減らしているのかを見極め、家計のバランスを見直すきっかけにしましょう。
7. 老後に向けた資産形成について考えましょう
ここまで70歳代の貯蓄額の平均値と中央値について詳しく見てきました。
これを見ると、貯蓄を多く貯めている人とほとんど貯められていない人の差が大きいことが分かるかと思います。
今後も物価上昇が続くことを考えると、現役世代の方は今のうちからなるべく多くの老後資金を用意することが必要になってきます。
資産全体のバランスやライフスタイルなどに合った方法で、資産形成について考えておくことが大切です。
たとえば資産形成の選択肢の1つとして、新NISAやiDeCoのような、国が用意する税制優遇制度を活用する方法もあります。
しかし、資産運用は利益が期待できるだけでなく価格変動リスクなどが伴いますので、まずは自分自身で今の家計に合った資産形成の方法について詳しく調べてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 厚生労働省「健康寿命の令和4年値について」
- 厚生労働省「令和5年簡易生命表の概況」
- J-FLEC(金融経済教育推進機構)「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
筒井 亮鳳