6. 老後までに知っておきたい「年金の予備知識」

では最後に、老後までに知っておきたい年金の予備知識について確認しておきましょう。

6.1 年金を受け取るには「申請が必要」

年金は、受給年齢に達したからといって自動的に支給されるものではなく、必ず申請手続きが必要です。

老齢年金の受給資格が生じる方には、受給開始年齢の約3カ月前に「年金請求書」が送付されます。

この書類にはご自身の年金加入記録が記載されているため、内容に「漏れ」や「誤り」がないかを事前に確認し、問題があれば早めに年金事務所へ相談しましょう。

なお、年金請求書の提出期限を過ぎてしまった場合でも、請求すれば65歳に遡って支給されるため、必ず必要事項を記入のうえ、日本年金機構へ提出してください。

6.2 年金の支給は「2ヶ月に1回」

公的年金は、基本的に偶数月の15日に2か月分がまとめて支給される仕組みになっており、その際に振り込まれるのは「前月分」と「その前の月分」です。

【年金の支払月と支払対象月】

  • 2月:12月と1月分
  • 4月:2月と3月分
  • 6月:4月と5月分
  • 8月:6月と7月分
  • 10月:8月と9月分
  • 12月:10月と11月分

現役時代は毎月の給与支給が一般的でしたが、老後は2か月ごとの年金支給となるため、家計管理には注意が必要です。

6.3 年金額は「毎年度見直し」がされている

老後の暮らしを支える公的年金は、物価の変動や経済の動向を踏まえて、毎年見直しが行われています。

厚生労働省が発表した「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によれば、2025年度の年金額は以下のとおりです。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)

2025年度は、前の年度と比べて年金額が1.9%引き上げられ、6月支給分から改定後の金額が反映されています。

7. 老後に受け取れる年金見込額を確認しておこう

本記事では、60歳から89歳までの「公的年金の平均受給額」を年齢別に紹介してきました。

本記事で取り上げた年金額はあくまで目安であり、すべての方が同じ金額を受け取れるわけではありません。

現役世代の方は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を活用して、自分の将来の年金見込額を事前に確認しておくと安心です。

すでに年金を受け取っている方には、年金額の改定時に「年金振込通知書」が送付されるため、前年と比べてどの程度支給額が変わったかを忘れずに確認しておきましょう。

参考資料

中本 智恵