そう感じる人が少なくないのは、大きな急落相場が2度あったことに加え、最大の急落相場が年終盤、具体的には、最後の3カ月に起きたことが理由と考えられます。実は、前述した2018年の値幅5,499円は、最後の3カ月弱の間に起きました。

確かに、3カ月弱での変動としては極めて大きいことは間違いありません。米国株も3カ月間の下落率ではリーマンショック以来だったわけですから、強い印象が残るのは当然です。

本当は誰にも見通せない2019年の株式市場動向

さて、気になるのは終わった2018年ではなく、始まったばかりの今年2019年の株式相場です。現時点では、楽観的な見通しと悲観的な見通しが交錯しているように思われます。

ハッキリ言って、今年の株式相場の見通しなんか誰にもわからないでしょう。分かるはずがありません。こう書くと、“予想がないなんて無意味だ”と憤慨する人がいるかもしれませんが、株式投資で継続的に成果を上げている個人投資家の多くは、筆者の主張と同じではないでしょうか。

なぜならば、そういう成功する個人投資家の多くは、自分自身の「判断軸」を持っているからです。

市場関係者のコロコロ変わる予想を鵜呑みにするな

誰か他人の予想がないと困るという人が多いかもしれません。しかし、いわゆる市場関係者の相場見通しというのは、その時々の経済環境や政治情勢でコロコロ変わるのが特徴です。株式投資をやる人で最も注意しなければならないのは、こうした市場関係者の見通しを鵜呑みにしないことです。

一般に、個人投資家の勝率は1割と言われています。つまり、9割の個人投資家が損をしているということですが、その最大の理由の1つが、こうした“他力本願”のスタンスなのかもしれません。

コロコロ変わる彼らの見通しに付いてくのは至難の業ですし、そもそも、コロコロ変わるということは、それだけ見通しが外れたということを意味しています。株式投資で成果を上げる最善の手段の1つは、こうした市場関係者の見通しを一切聞かないこと、あるいは、その見通しの逆をやることだという主張もあるくらいです。いかがでしょうか。

過度な楽観論と悲観論は禁物

ここ数年のパターンからいけば、今年も年間を通して日経平均株価は4,000~6,000円程度の値幅が生じると思われます(アベノミクス始動後の平均4,969円)。個別株の変動率はもっと大きくなるかもしれません。

こうした株価変動を前提に、極端で根拠のない楽観論と悲観論を持たずに、冷静に望むことが重要でしょう。そして、株式投資には大きなリスクが伴うことを再認識した上で、ご自身の投資資金の範囲内で健全な投資を心がけてください。

借入金で投資するのは論外として、過度なレバレッジ(信用取引、先物・オプション取引)も避けるべきです。筆者の意見が少しでも役に立てば幸いです。

葛西 裕一