2018年の日本株は7年ぶりに前年を下回る
東京証券取引所は12月28日に大納会を迎え、2018年の日本株式相場が幕を下ろしました。まずは2018年の株価(日経平均株価)を振り返りましょう。騰落率は前年2017年の終値との比較です。
- 始値:23,074円(+1.4%上昇)
- 高値:24,448円(+7.4%上昇) 10月2日
- 安値:18,949円(▲16.8%下落) 12月26日
- 終値:20,014円(▲12.1%下落)
1年の終値が前年終値を下回るのは2011年以来となる7年ぶりのことでした。▲12%超も下落した終値の単純比較だけを見ると、2018年の株式相場は相応に厳しかったことが分かります。
2018年の株式相場で強く印象に残るイメージは“乱高下”?
ところで、皆さんは2018年の株式相場を振り返って、どのような印象を持つでしょうか? もちろん、株式投資で利益を上げた人、損失を被った人、そもそも株式投資をやっていない人によって、持つ印象は全然違うかもしれません。
しかし、多くの人が持っていると思われる強い印象は“乱高下”ではないでしょうか。株価は常に変動しますから、安定した推移を示した年はほとんどありません。ところが、2018年の株式相場は、バブル崩壊後の最高値を2度も更新したと思ったら、あっという間の急落に見舞われたことも2~3度ありました。
したがって、“2018年は乱高下の年だった”と振り返る人がいても不思議ではありません。
年間を通してみれば2018年は非常に落ち着いた相場だった
しかしながら、数値データで検証する限り、2018年の株式相場は“乱高下”とは言い難い年だったのです。
まず、年間の値幅(高値と安値の差)を見ると、2018年は5,499円でした。この値幅は、直近20年間では6番目に大きく、平均値4,513円を大きく上回っています。
しかし、変動幅だけでは実態を表すことはできず、変動率(=値幅を前年終値で割った比率、変化率)を見る必要があります。この変動率が高いほど“乱高下”だったと言えましょう。2018年の変動率は24.2%でした。この数値は、直近20年間では4番目に低くなっており、平均値33.3%を大きく下回っています。
実は、2018年の株式相場は乱高下どころか、非常に落ち着いた相場だったと言えるのです。
それでも“乱高下”という印象を払拭できない理由は
一方で、“バカな!こんなに株価が動いたのに、落ち着いた株式相場だったのか?”と訝る人も少なくないでしょう。