一方、女性アイドルに男性の多くが求めているのは、恋愛対象としてはもちろん、見た目の可愛らしさや若さ。これは昭和の時代から今でもずっと変わらない、女性アイドルたちの消費の仕方です。性格や人間性で人気を得ることももちろんありますが、それは見た目や若さがあってこその評価のように感じられます。
また、自分の意見をしっかり主張できたり結婚したりすれば、“アイドルではない”という見られ方をするのが女性アイドル。お人形のような見た目、若さがいかんなく発揮される肌の露出といったポイントが、非常に重視されているのではないでしょうか。
そのため、女性アイドルは彼女たちの顔が可愛いか可愛くないかを批評されたり、すぐに「劣化した」「整形?」と中傷されたりすることが珍しくありません。グループを卒業して「私はもうアイドルではありません」と宣言しない限り、プライベートな恋愛が応援されることももちろんありません。
そこには、見ている男性による支配欲が関係しているようにも感じられます。若さは、幼気で純真、さらには(男性に)従順であるという象徴です。恋愛対象として、自分の言うことを聞いてくれ、お人形のように可愛い見た目や若さのままでいてくれる女の子を、女性アイドルに求めているのでしょう。
女性アイドルの可能性が広がることは一般女性の救いにもなる
アイドルの存在は、社会やジェンダー意識を映し出します。恋愛だけでなく、日常生活でも女性は見た目や若さが求められる場面に多く遭遇します。
余談ですが、筆者の友人は35歳の時に自動車教習所に通った際、中高年の男性教官による女子大学生への対応と自分への対応が明らかに違うことを体験したそうです。このエピソードを読み、「ババアの嫉妬」と捉えた人もいるでしょう。しかし、そうした捉え方があるのなら、そこに女性アイドルの「若さ」を評価軸にするような価値観が影響を与えてるように感じます。
男性アイドルのように女性アイドルも年齢層や活躍の場、スタイルが広がっていくことは、一般女性の救いにもなるのではないでしょうか。全員が離婚歴ありのアイドルグループとか子育てアイドルのような女性が、お茶の間にも受け入れられるようになったら、日本は本当の意味で多様性がある社会になるのでは、なんて思ったりしています。
秋山 悠紀