この物語は、決してハッピーエンドとは言えません。子供たちはその理不尽な結末に納得がいかないかもしれません。ただ、このシビアすぎるストーリーは、筆者の心に深く突き刺さり、今も抜けないトゲとなって残っています。
中には、「子供たちが、社会に対して『頑張っても報われないことがある』というネガティブな印象を持ってしまうのでは」という意見もあるようです。また、もしかしたら「泣かせにかかっている感傷的なストーリーだからイヤだな…」なんて思ってしまう方もいるかもしれません。
しかし、何の見返りも求めることなく、愚直にできることを頑張るガンバの姿を見て子供たちが何かを感じてくれるのならば、それがどんな感想であれ、それこそが宝物なのではないか、と筆者は思うのです。
ちなみに、筆者が娘に読み聞かせたときの、娘の感想は「よかったね」でした。「どうして?」と聞くと、「ガンバはこうやって頑張ったから絵本になって、みんなにすきになってもらっているんだよ。頑張らなかったら、みんなガンバのこと知らずに、ガンバを好きになっていないよ」でした。
あなたの心に残る一冊は何ですか?
子供に本を選んであげるとき、自分が子供の頃に夢中になった一冊をチョイスしてみるのはいかがでしょうか? 自分が子供の頃に抱いた感想とは異なる感想が聞けたり、意外な見解が聞けたりして、なかなか楽しいものです。
さぁ、小学校時代を思い出して、あのとき何度も読み返した物語を、もう一度手にとってみてください。きっと、その一冊はニッコリほほ笑んであなたに「おかえりなさい」と囁いてくれるでしょう。
大中 千景