企業の採用担当者から良く聞く話ですが、説明会、選考日にドタキャンをされることが年々増えており、連絡がないケースもあるようです。

売り手市場において、選考辞退への対応が軽視されている印象をうけますが、企業側もこの対策として、書類選考後すぐに連絡するようにしたり、説明会や面接日程を指定するのではなく、複数候補日を送り相手に選んでもらったりと、極力辞退をなくす努力を行っているようです。

金額報酬から意味報酬へ

意味報酬とは、人の役に立っている、喜ばれる、成長しているという実感のことで、入社前だけでなく入社後も重要視される部分です。

豊かな時代に生まれたイマドキの学生は金額報酬への執着度がそこまで高くなく、「働きがい」「やりがい」といった部分を純粋に求めます。就活生が何をやりがいに感じるのか。それは人によって様々ですので、企業側は説明会等で、できるだけ多くの「働きがい」「やりがい」を提示できるとアプローチしやすくなると思います。

また、インターンシップやお仕事体験会を企画し、実際に「働きがい」を感じてもらえる機会提供も有効だと思います。特にインターンシップにおいては、「母集団形成」や「企業ブランディング」を意識して戦略的に受け入れることをおススメします。

ここ4~5年でインターンシップの重要性がより高まっていますが、企業によっては指導者もつけず、人手不足な場所に配置してもフォローしないといったケースもあるようです。以前観光業界を志望する就活生からも「とても入りたい企業でインターンシップに行ったが、人手不足で何も教えてもらず、2週間ずっとコピーを取っていました。とてもがっかりです」というように、インターンシップの残念エピソードをよく聞きます。

そして、こういった情報は学生内でシェアされ、ひどい場合はSNSで拡散されてしまうこともありますので、受け入れ時の体制を考えた上で「やらない」という選択肢もありだと思います。またインターンシップ期間を通してインターンシップ生全員が母集団にならなくても、学生にとって「将来のためになる」インターンシップを行っていれば、学生の口コミから母集団を形成することも可能だと思います。

中でも「ウェルカム感」が伝わる企業は就活生に人気です。たとえば、求める人材像にマッチした社員や最も活躍している社員を指導者にあてたり、様々な部署を体験してもらったり、学生の就活や将来について相談に乗ったりなど、企業の特色を活かして会社全体で「ウェルカム感」をつくっていけるといいですね。

おわりに

就活はよく恋愛に例えられますが、表面的な恋愛は避けたいところ。そうならないためにも、企業側は企業の強み、弱み(改善点、今後の伸びしろ)を開示し、求める人材に好かれるよう、分かりやすく、スピーディに、丁寧に対応することで成就につながりやすくなると思います。既に対策を取られている企業も多いと思いますが、改めての参考になれば幸いです。

福島 知加