3. 年金受給額を増やすためには

年金受給額は、物価の変動に応じた改定を除き、一度決まると基本的に変わりません。では、将来受け取る年金額を増やすには、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、その具体的な方法を説明します。

3.1 未納期間・免除期間の保険料を追納する

過去に国民年金保険料の未納期間や、経済的な理由で免除・猶予を受けていた期間がある場合、後から保険料を納付(追納)することで、将来の年金額を増やすことができます。追納できるのは、原則として過去10年以内の期間です。

3.2 社会保険(厚生年金)の加入期間をできるだけ長くする

厚生年金の加入期間が長いほど、受給できる年金額は増えます。現在の日本では、厚生年金には最長で70歳まで加入できます。

定年後も働く意欲と機会があれば、厚生年金に加入して働くことで、将来の年金額を増やすことができます。

3.3 社会保険加入中の収入(標準報酬月額)を上げる

厚生年金の年金受給額は、社会保険加入中の収入が高いほど増えます。

社会保険加入中にキャリアアップや転職を目指し、より高い収入を得ることも、将来の年金額を増やすことにつながります。

3.4 年金の繰下げ受給を選択する

現在の年金制度において、原則的な支給開始年齢は65歳ですが、それよりも後に年金を受け取り始める「繰下げ受給」を選択することで、年金額を増やすことができます。

年金受給を先延ばしにすると、1ヶ月ごとに0.7%の増額率が適用されます。75歳まで繰り下げることができ、最大で84%の増額をすることができます。

4. まとめにかえて

本記事では、年金の平均受給額の実態、そして年金額の決定方法について解説しました。統計結果から、現在の「ふつうの年金額」が性別によって異なることがわかります。

将来の年金受給額を増やすには、国民年金の未納分追納や厚生年金の加入期間の延長、収入アップといった方法があります。また、受給開始を遅らせる「繰下げ受給」も有効な手段です。

年金は一度決まると基本的に変わらないため、現役時代からの計画的な準備が重要です。早いうちから年金制度を理解しておくことで、より安定した老後の経済基盤を築くことができます。

ねんきん定期便などで自分の年金記録を確認し、将来に向けた具体的な行動を始めてみてください。

参考資料

斎藤 彩菜