5. 年金額改定とマクロ経済スライド

公的年金は賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しがおこなわれます。これにより、2025年度(令和7年度)の年金額は前年度より1.9%引き上げられました。

3年連続のプラス改定にはなりましたが、「マクロ経済スライド(※)」によって物価上昇率を下回る改定率となっており、実質的には目減りしている点に注意が必要です。

年金額の改定率の決め方は、次のとおりです。

まず、物価変動率(+2.7%)と賃金変動率(+2.3%)の「低い方」を基準とします。令和7年度での改定では、賃金変動率が物価変動率より低く、この場合「賃金変動率」を基準とします。

この時点で、年金額の改定率は必然的に物価変動率を下回ることになります。

さらに、マクロ経済スライドによる調整で、▲0.4%下方修正されています。これは、年金制度を持続可能なものにするために、被保険者の減少や平均余命の伸びによる一人あたりの受給期間の伸びを踏まえて、年金額の引上げを抑えるルールです。

以上の仕組みにより物価変動率+2.7%に対して、年金額の改定率は+1.9%となります。つまり、物価上昇に年金額が追い付いていないのです。

また、年金からは税金や社会保険料が天引きされる点も押さえておきましょう。