梅雨の季節は、雨による視界不良や路面状況の変化で、運転にはいつも以上に注意が必要です。特に近年、75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故が微増傾向にあり、運転免許の自主返納という選択肢が注目を集めています。今回は、警察庁のデータをもとに、運転免許証の自主返納の現状や、返納後の生活を豊かにする支援制度、さらにはご家族の自動車保険にも役立つ「等級」の賢い活用法について解説します。

1. 【データで見る】75歳以上高齢ドライバーによる死亡事故の現状と背景

まずは、警察庁交通局が令和7年2月27日に発表した「令和6年における交通事故の発生状況について」、75歳以上高齢運転者(一般原付以上運転)による死亡事故件数の推移をみていきましょう。

75歳以上高齢運転者(一般原付以上運転)による死亡事故件数の推移

75歳以上高齢運転者(一般原付以上運転)による死亡事故件数の推移

出所:警察庁交通局「令和6年における交通事故の発生状況について」

75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数は、一時は減少していたものの令和2年を底に再び微増傾向にあります。令和6年は410件発生しており対前年より26件増えています。また、免許保有者10万人当たり75歳以上高齢運転者による死亡事故件数をみると、75歳未満運転者のおよそ2倍と依然として高い水準であるのがわかります。

死亡事故件数が再び増えつつある背景には、運転を続ける75歳以上の人口増加や、加齢による身体機能・判断力の変化に加え、車に頼らざるを得ない生活環境など、複合的な要因があると考えられます。

こうした背景の中、「そろそろ運転を卒業すべきか」と悩む方も増えており、運転免許の自主返納という選択肢が注目されています。