2026年4月、自転車の交通違反に対して「青切符」による反則制度が導入される予定です。これにより、16歳以上の利用者を対象に、信号無視や一時不停止などの違反に反則金が科されることになります。

今回は、警察庁の「自転車の交通指導取締り状況」に関する統計をもとに、現在の指導・検挙の実態と、2026年から導入される青切符制度について解説します。

1. 【検挙数は約4倍以上に増加】「一時不停止」が最多、自転車違反の取り締まり強化が加速

警察は現在自転車の交通違反に対し、重点地区・路線で指導警告を行う一方、悪質・危険な違反は厳しく取り締まっています。2024年には約133万件の指導警告、約5万1500件が検挙されています。警察庁交通局が公表する「自転車の交通指導取締り状況」についてみていきましょう。

1.1 「歩道通行」や「右側通行」で合計約10万件の【指導警告】

令和6年【指導警告票交付件数】合計133万1370件のうち上位3つの違反行為

  • 無灯火:30万9840件
  • 並進禁止:20万6566件
  • 一時不停止:20万760件

指導警告票は警察が自転車の交通違反に対して交付する書面です。青切符(交通反則通告制度)と異なり法的拘束力や罰則はありません。 これは交通安全意識の向上と将来の事故防止を目的とし、違反を認識させるための指導・警告に留まります。指導警告票の交付件数は平成27年以降減少傾向にあり、約133万件で推移していますが、これは指導啓発の効果と同時に依然として多くの違反が存在する現状を示しています。近年では「歩道通行」や「右側通行」といった事故に繋がりやすい違反への取り締まりが重点化され、これらの項目で合計約10万件近くの指導警告が行われていることから、一層の意識向上が求められています。

1.2 【検挙件数】大幅な増加と「一時不停止」の急増

令和6年【検挙件数】合計5万1564件のうち上位3つの違反行為

  • 一時不停止:2万1833件
  • 信号無視:2万1088件
  • しゃ断踏切立入:3220件

自転車の検挙件数は、平成27年の1万2018件から令和6年には5万1564件へと約4倍以上に大幅に増加しています。 特に注目すべきは、「一時不停止」による検挙件数の急増で、平成27年の596件から令和6年には2万1833件と、全体の検挙件数増加の大きな要因となっています。これは、自転車の交通安全に対する警察の取り締まりが年々強化され、特に交差点での一時不停止が事故に直結する危険な行為として重点的に取り締まられている現状を強く示しています。

ここまで見てきたように、警察は指導警告と検挙の両面から自転車の交通違反対策を強化しています。特に検挙件数の大幅な増加は、既存の取り締まりの厳格化を明確に示しています。そして、この取り締まりは今後、さらなる法的拘束力を持つ制度へと移行しようとしています。