6. 年金世代が「年金にゆとりがない」と感じる理由は?
金融経済教育推進機構(J-FLEC)が2024年12月に公表した「家計の金融行動に関する世論調査 2024」では、60歳代・70歳代の二人以上世帯において、60歳代の32.6%、70歳代の30.6%が「日常生活費程度もまかなうのが難しい」と回答。
年金にゆとりがない理由として「物価上昇」「医療費・介護費負担の増加」などが上位に挙がっています。
完全リタイア後の老齢年金世帯では、現役時代と比較して収入が減少するのが一般的です。そのため、家計への負担感は今後も増していくことが予想されます。
また、現役世代には毎月給料日がありましたが、老後の年金支給は2カ月に一度となるため、家計管理のサイクルも変わってきます。
年金支給スケジュールに合わせ、日ごろの生活費のやりくりに工夫を加えていく必要があるでしょう。
6.1 【ご参考】2025年「年金支給日カレンダー」
7. 資産形成は早めの行動がカギ
ここまで、シニア世帯の貯蓄事情や年金の平均額などを見てきました。
シニア世帯の貯蓄額の中央値は約1600万円とされていますが、かつて話題となった「老後2000万円問題」も記憶に新しい方が多いのではないでしょうか。
実際、筆者が資産運用の相談を受けるなかでも、最近では若い世代から「将来の生活に対する漠然とした不安」を抱えているという声をよく耳にします。
公的年金制度があるのは心強いものの、それだけに頼るのはリスクも伴います。
将来に備えて、早いうちから資産形成や家計の見直しを始めておくことが、安心につながる大きな一歩となるでしょう。