4. シニア世帯の約6割が「公的年金・恩給だけで生活できない」

厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、「公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯」は 43.4%です。

約6割のシニア世帯が、公的年金・恩給による所得だけでは生活できないことがわかります。

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合(2024年)

公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合(2024年)

出所厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況/ 各種世帯の所得等の状況」

この場合、生活費を補填するために貯蓄を取り崩したり、働いて収入を得たり、子どもからの仕送りをお願いするなどの対応が必要になるでしょう。

シニア世代の年金生活をこうした数字から考察していくと、現役時代に老後資金を十分に確保しておくことで、老後を安心して迎えられると想像できます。

5. 将来への不安を減らすために「今、何ができるか」を考える

厚生年金(国民年金を含む)による年金収入が年間240万円以上となる人は、全体の2割にも満たないのが実情です。

公的年金だけで老後の生活費をまかなうのは容易ではないことがわかります。

実際、老後もゆとりある生活を続けていくためには、年金以外の収入や貯蓄、資産運用などの備えが欠かせない時代になっています。

現役世代の皆さんは、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などを活用して、自身が将来受け取る見込みの年金額を正確に把握することが大切です。

そのうえで、老後に必要となる生活費とのギャップを確認し、必要に応じて資産形成や支出の見直しなど、具体的な対策を進めていきましょう。

将来への不安を減らすためにも、「今、何ができるか」を考えながら、計画的に準備を始めることが重要です。

参考資料

荻野 樹