この数字だけを見ると、何となく人手不足という印象がなくもありません。しかし、「美容師」は国家試験に合格して名簿登録しなければ従事できません。この名簿登録される美容師は、直近10年間は毎年約1万8,000人です(平成28年度は約1万8,500人、平成29年度は最終結果未発表)。

つまり、毎年新たに約1万8,000人の新たな美容師が誕生しているにもかかわらず、統計上で増加している美容師数は約1万人に止まっているのです。

登録した全員がすぐ従事するわけではないとはいえ、明らかに大きな“需給ギャップ”が存在していることがわかります。単純に考えれば、毎年多くの美容師が“失職”している、もしくは、いつになっても働き口が見つからないということになります。

“美容室バブル”に変調の兆しも

こうした一種の“美容室バブル”に、変調の兆しが出ています。先日明らかになったデータによれば、今年2018年の美容室の倒産件数は1-11月累計で86件になり、年間では直近10年で最高となる可能性が高まりました。その要因は様々ですが、店舗過剰による売上不振が最大のようです。

確かに、全体の美容室数から見れば倒産件数はまだ多くありません。しかし、一般論として、バブルが弾ける時は、ささいなことがきっかけとなって、あっという間に悪化します。来年以降、この“美容室バブル”がどうなるのか注視したいと思います。

一方で、こうした“美容室バブル”を膨らませてきたのは、“美しくなりたい”という女性のあくなき願いです。この願望は、そう簡単に縮小しないかもしれません。それどころか、ますます拡大する可能性すらあるのです。何しろ、女性の“美しくなりたい”という思いは、紀元前の古代から続いているのですから。

葛西 裕一