4. 【厚生年金保険料】2027年9月~「負担額&年金額」は月いくらになる?

この章では、具体的なケースをもとに、標準報酬月額の上限引き上げによって厚生年金保険料の負担額と将来の年金受給額がどのように変わるのかを確認していきます。

※シミュレーションに用いる年金額は2024年度の基準に基づいており、対象となる年に1年間該当した場合のおおよその目安です。

4.1 【標準報酬月額の上限】68万円に改正した場合(2027年9月)

標準報酬月額の上限が68万円へ引き上げられた場合、その影響を受けるのは「報酬月額66万5000円から69万5000円程度」の方です。

この層では、保険料・年金額が以下のように変わることが見込まれます。

  • 保険料:月5万9475円から6万2220円に増額(実質約1800円の増額)
  • 年金額:+約150円/月(終身)、10年間該当で+約1500円

4.2 【標準報酬月額の上限】71万円に改正した場合(2028年9月)

標準報酬月額の上限が71万円に引き上げられた場合、影響を受けるのは「報酬月額69万5000円から73万円程度」の方です。

この層では、保険料・年金額が以下のように変わることが見込まれます。

  • 保険料:月5万9475円から6万4965円に増額(実質約3700円の増額)
  • 年金額:+約300円/月(終身)、10年間該当で+約3000円

4.3 【標準報酬月額の上限】75万円に改正した場合(2029年9月)

標準報酬月額の上限が71万円から75万円に引き上げられた場合、影響を受けるのは「報酬月額73万円以上」の方です。

この層では、保険料・年金額が以下のように変わることが見込まれます。

  • 保険料:月5万9475円から6万8625円に増額(実質約6100円の増加)
  • 年金額:+約510円/月(終身)、10年間該当で+約5100円

上記のとおり、収入が高いほど、今回の改正による保険料の負担増が大きくなっています。また、比例して年金額もアップしていることがわかります。

5. まとめにかえて

2025年6月13日、年金改正法案が成立しました。

これから、社会保険の加入対象の拡大や在職老齢年金・遺族年金の見直しなど、さまざまな改正が進められていきます。

厚生年金保険に加入して働く方のうち、年収が1000万円を超える方々は、標準報酬月額の上限引き上げにより、保険料の負担が増えます。

保険料が増えることで、将来の年金受給額も増えますが、前述の試算結果を見ると「年金増」よりも「負担増」の方が目立ってしまうかもしれません。

なお、負担額・年金額がどのくらい変わるかは収入により異なるため、対象にる方は、シミュレーションをしてみると良いでしょう。

参考資料

マネー編集部年金班