2018年11月14日に行われた、株式会社ゆうちょ銀行2019年3月期第2四半期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料
スピーカー:株式会社ゆうちょ銀行 取締役兼代表執行役社長 池田憲人 氏
2019年3月期第2四半期決算説明会
池田憲人氏:ハイライト編の資料に従って、簡単にお話を申し上げたいと思います。この10年後を睨んだ3年計画をつくり、その6分の1が過ぎました。全体像のあと、トップとしての経営・運営の振り返りを5項目に分けてコメントさせていただきます。とりわけ、次に向けてのオリジナルのビジネスモデル、あるいは基盤充実の進行状況、トピックスについて少し触れたいと思っております。
2019年3月期計画 進捗状況
中間期の決算は、前年同期比減益でございました。しかし、小幅ながら予定を上回って着地したと思っております。
内外金利比較
内外金利比較は資料のとおりです。この3年計画をつくる時に、ガイドラインとして減益は読み込んでいました。
私たちはパラダイムシフトとして、戦略的投資領域などリスク性資産へ投資運用の軸足を固めていこうといった計画をしております。上期はその滑り出しとして新規運用に努めた結果、残高が80兆円になりました。
自己資本比率・リスクアセット等の推移
(資料のとおり)残高が80兆円になったのがおわかりになると思います。他方、国内の手数料ビジネスは、比較的順調に滑り出しておりまして、社内全体で上げ潮ムードに働いてきております。
みなさんご案内のとおり、個人ローンの媒介については現在消極的に進めておりますが、それを除いては上げ潮ムードに働いてきております。
営業経費の推移
経費・ローコスト対応も各所目配りをしまして、なんとか経費の横ばいレベルを確保しております。そうした結果、今年度の当期利益業績予想の進捗率は61パーセント程度になり、まずまずのところと思っております。
しかし、もとより償還が上期に偏っているポートフォリオのほか、現在の金融情勢を鑑みて、慎重・手堅くハンドリングをしていく方針としまして、年度の通期業績予想・配当予想は変えないことにいたしました。以上が全体感でございます。
それでは、これから5つほど、私どもの特徴的なコメントをさせていただきます。まず1番目は、有価証券等パラダイムシフト状況と、下期の運営についてでございます。資料6ページをもう一度ご覧ください。ストレスを考慮しての自己資本活用が、13パーセント程度です。仮にストレスがかかっても10パーセントを切らないというガイドラインをつくっておりますが、3年計画でそれに織り込んでおり、その範囲で業務運営を進めてきております。
リスク性資産の状況
リスク性資産の80兆円の大半は外債投信のほか、外国社債を合わせまして、概ね大半を占めております。また、別の切り口で申し上げますと、インハウスは約45パーセント程度の運用ポートを占めております。もちろん、外債は以前から為替ヘッジをしてきていまして、大部分はヘッジしております。
次に、戦略運用投資領域は、それぞれの市場を慎重に見極めながらの判断は当然でございますが、市況、あるいはゲートキーパー、運用会社のトラックレコードなどについて、適宜インタビューで子細に分析し、機動的なポジション調整を前提に、ポートフォリオ積み上げに一歩一歩努めているところです。
以上が、パラダイムシフトの現在の状況でございまして、この動向は、引き続きこの考え方で進めていきたいと思っております。
役務手数料の状況
2番目に、国内役務手数料の発展について申し上げます。投資信託販売事業は、順調に滑り出しをしました。全体的に、バランス型ファンドが売れ筋にあります。また、前回もご質問がありましたように、「JP投信はどうなんだ」ということで、3年前に設立したJP投信も預かり資産重視を鮮明に打ち出し、堅実な歩みをしているところでございます。
お客さま本位の良質な金融サービスの提供
ATM事業についてです。右上のとおり、さまざまな提携を進めまして、プラットフォーム的な地位を着実に固めてきております。地域銀行との提携拡大を引き続き図っておりますが、ATMに関しての無料提携については、現在12銀行としております。
地銀の連携につきましては、ATMのほか、ファンドやバック事務において、共同事務、事務効率化、郵便局との連携など、プラスになる共同ビジネスを進めているところでございます。
さらに、現在のPay業務に対しましては、左をご覧ください。QRコード「ゆうちょ Pay」を発売し、決済ビジネスの列に加えていこうと考えました。来年からスタートする予定でございます。これは、お客さまの活用はもとより、いわゆる使ってくれるお店(利用店)であるパートナーが、どれだけ利便性・効率性を感じるかと(いったところに注目しています)。
そして、取り扱っていただくことが、このビジネスの要点になります。福岡銀行、横浜銀行などとも連携をいたしまして、銀行ペイの普及に努めていく所存であります。
なお、類似的に申し上げますと、先導的なものとして即時振替サービスがございます。その決済件数は前年比で8割強増加をし、右肩上がりでございます。証券会社さん、電子マネー会社さんなどに活用していただいているということを付言させていただきます。
JPインベストメント株式会社を通じたPE運用状況
さて、その次の4番目でございます。次のビジネス開拓として、今年の2月にJPICという投資会社を設立いたしました。ちょうど半年経過しましたが、だいたい車を買う場合でも「半年点検」というものがあるように、半年間を経て、半年点検をしております。誤解のないようにお願いしたいのは、ここの会社は連結決算ではあるんですけれども、別動隊ではないというGP会社でありまして、1号ファンドはかんぽとの共同出資で、900億円の規模にあたります。
スタート時、ビジネスの種探しに力点をかけてきました。バイアウト・ベンチャー・ソリューション、地方創生の各部署合計で、コンタクトの数は300を超えるレベルにあります。ここに書いてあるとおり、そのうち一定数を絞り込んできまして、投資検討段階に入り、そして最後は投資実行までというプロセスを行います。
現在(設立から)半年でありますから、投資実行は3案件でして、投資額は118億円ですが、純粋な国内は1件です。その他は、国内に関係している海外の会社でございまして、その118億円はファンド総額の13パーセントというレベル感でございます。
いずれ、第3者から投資の受け入れを想定しております。そのため、より透明性・信頼性の向上に努めていかなければいけないということで、現人員27名の増強等についてさらに工夫をして、次世代のビジネスの柱に仕立てていこうと思っております。
最後に5番目は、基盤充実・ローコスト運営でございます。これは、資料がございませんが、ご案内のとおり働き方改革、仕事の仕方改革など、具体的に進めているところでございます。トピックスとして、当行が持っている強みの「バック事務集中」について、各種施策がもろもろございますので、ポイントを2つほど触れたいと思います。
上期は、イメージワークフローというシステムを導入いたしました。つまり、ほとんど人手をかけないで、いろいろな事務処理の発想ができるということを(想定)しておりまして、8月に11事務センターですべて導入いたしました。
もう1つは、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)というもので、事務処理の標準化です。当行には、実は税務署、検察、警察からの照会事務がいろいろあります。これをやるのが宿命でもございます。今のBPRの作法を駆使して、業務量・コスト削減にその合理化をつなげてきました。相当の時間短縮につながり、下期以降も経費効率化に寄与すると思っております。
2017年度比で、約400名弱の効果がございました。全体で958名ですが、そのうちの半分弱まで効率化が進んできております。
以上が2つですが、もう1つAIについても触れさせていただきます。郵便局とのパイプ役であるパートナーセンターがございます。パートナーセンターは日本全国で50ありまして、2万4,000の郵便局に我々の業務等を指導・サポートしている役割がございます。
これは、AIの音声を活用して、お客さまへの回答の高度化へ実証実験を進めております。できるだけ早い段階で、全パートナーセンターの取り組み体制を詰めていこうと思っております。
以上、簡単な振り返りでございますが、私からの説明はこれで終わらせていただいて、ご質問を受けたいと思います。