7. シニア世帯の約6割が「年金収入だけで生活できない」

2025年度の年金額は増額となりますが、昨今の物価上昇率には追い付きません。

厚生年金や国民年金の平均月額を確認しました。個人差はありますが「公的年金だけで生活できる世帯ってあるの?」と感じた人は少なくないでしょう。

厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」によると、老後の総所得が100%公的年金(または恩給)となる高齢者世帯は41.7%です。

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の構成割合

出所:厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」

つまり、公的年金を受給するシニア世帯の約6割が、年金収入だけで生活できていないということになります。

冒頭で申し上げましたが、65歳以上無職世帯は夫婦世帯も単身世帯も、毎月3万円程度の赤字です。

貯蓄の取り崩しや現役時代に準備しておいた運用商品の分配金・配当金といった不労所得、お子様世帯からの仕送り、労働収入などにより、この赤字を補填することになるでしょう。

現役世代の人たちは「老後資金の準備が必須」といわれるのはこのためです。

これから先、年金制度がどのように変わるかはわかりません。日本経済がどのように変化するかもわかりません。

何がどのように変化していくのかをしっかりウォッチしながら、老後対策も適宜修正して、安心して自身の老後を迎えられるように準備していきましょう。

参考資料

和田 直子