その年を総括する賞が多数発表される12月
師走の12月は、その年1年を総括するような賞、たとえば「2018年○○○大賞」のような発表が相次ぎます。今年も3日(月)に「新語・流行語大賞2018」が発表され、女子カーリングの「そだねー」が流行語大賞に選ばれました。
納得した人、納得しない人様々でしょうが、こうした1年を総括する賞の授与に際して、改めて今年を振り返る人も多いと思われます。
「今年の漢字」は1年間の世相を表す漢字一文字
その中で近年、「新語・流行語大賞」と同じくらい注目を集めているのは、日本漢字能力検定協会がその年の世相を表す漢字一文字を発表する「今年の漢字」です。
1995年に始まった「今年の漢字」は、原則として毎年12月12日の「漢字の日」の午後に、京都の清水寺で発表されます。清水寺の貫主が大きな筆でササーッと書くのが印象的ですが、書き終わるまで答えがわからないので結構ドキドキします。難しい漢字の場合は、書き終わっても何の漢字だか理解できない人も少なくないようです。
ちなみに、昨年2017年の「今年の漢字」に選ばれたのは『北』、2016年は『金』、2015年は『安』、2014年は『税』、2013年は『輪』、2012年は『金』、2011年は『絆』、2010年は『暑』でした。
特徴としては、過去22回で『金』だけが3度選出されており、いずれも夏季五輪開催の年でした(2016年、2012年、2000年)。選考方法は全国から公募する形を採っているため、過去に選出された漢字が再び選ばれる可能性もあります。
いずれにせよ、「新語・流行語大賞」のように候補がノミネートされることはなく、いきなり最終結果(大賞)が発表されるのも特徴です。
「今年の漢字」は翌年の株式相場と強い関連性
さて、近年になって「今年の漢字」が注目されている理由の1つが、株式市場との強い関連性です。実は、選ばれた漢字一文字がポジティブな意味の場合は翌年の株式相場は上昇し、ネガティブな意味の場合は翌年の株式相場が下落する傾向が見られています(注:相場の上昇・下落は、前年の終値との比較で判断しています)。
最近の事例を具体的に見てみましょう。
2010年に選出された『暑』は、この年の記録的な猛暑を反映したネガティブな意味でしたが、翌2011年の株式相場は、円高や東日本大震災により大幅下落となりました。2011年の『絆』は震災での助け合いを示唆するポジティブな意味でしたが、翌2012年の株式相場は大幅な上昇でした。
2012年の『金』もポジティブな意味で、翌2013年の株式相場はバブル崩壊後で最大の上昇率を記録しています。東京五輪開催が決まった2013年の『輪』もポジティブな意味ですが、2014年も株式市場は続伸しました。
一方で、2014年と2015年は“ハズレ”となりました。2014年の『税』は消費増税実施による消費減退なのでネガティブな意味でした。また、2015年の『安』も安全保障関連法、相次ぐテロ事件による安全への不安、マンション傾斜問題や食品問題による安全性の揺らぎを反映してネガティブな意味です。しかし、2015年の株価は小幅上昇、2016年は大幅上昇となりました。