3. 老後の「収入」を増やす方法はある?
では最後に、老後の収入を少しでも増やす方法について見ていきましょう。
- 働いて収入を得る
- 年金受給額を増やす(私的年金も活用)
- 資産運用で不労所得を得る
体力に自信がある方は、60歳以降もそのまま働き続けるという選択肢も十分に考えられます。2025年4月からは65歳までの雇用確保が義務化されました。同時に70歳までの就業機会確保も努力義務となり、シニアの労働環境は大きく変化しています。
また、条件によっては厚生年金の納付期間を延ばせるため、将来的な年金受給額の増加も期待できるでしょう。
なお、働き続ける以外にも、任意で国民年金に加入したり、年金の繰下げ受給を利用したりすることで受給額を増やすことが可能です。
「自分年金」として、私的年金を準備するのもおすすめです。リタイア後に一括または年金式で積み上げた資産を受けとることができます。税制面での優遇を受けられるものも。
さらに、「不労所得」を得るために資産運用を検討するのも有効です。
株式の配当金や投資信託の分配金、不動産の賃貸収入など、いわゆる「お金に働いてもらう」方法ですね。
ただし、こうした投資はリスクが伴うため、リスクを理解して十分に検討し「余裕資金」で行う必要があります。
4. まとめにかえて
最初に、70歳代・単身世帯の貯蓄額について確認していきました。
中央値は475万円、貯蓄ゼロの世帯は約27%を占めていましたね。「それほど貯蓄がなくても年金だけで生活できるのかな」と思った方もいたかもしれません。
あくまでも平均の受給額ですが、「年金だけで十分」と感じた方はそう多くはないでしょう。
老後は、医療費や介護費用の負担が増える可能性も考慮しておきたいです。また、近年そうであるように物価上昇により生活費が家計を圧迫する可能性も。
年金額は賃金や物価の変動を見て毎年見直しが行われますが、現行のルールでは物価の上昇を上回ることはありません。仮に目に見える年金額が増えても、食費や光熱費がそれ以上のペースで増えれば実質的には減っていることと同じです。
年金だけでギリギリの生活を送るのは不安が大きいでしょう。相応の貯金は準備しておきたいものです。本記事でご紹介したように、年金以外の収入も検討していけると良いですね。
参考資料
- 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-(二人以上の世帯)」
荻野 樹