有機EL材料首位の米UDCが業績下方修正

9月から受注スローダウン

スマホ用有機ELの生産は年内低調か(写真はサムスンのGalaxy S9+)

 有機EL用燐光発光材料メーカーの米ユニバーサルディスプレイコーポレーション(UDC)が先ごろ発表した2018年第3四半期(7~9月)決算で、通期の売り上げ見通しを当初の2.8億~3.1億ドルから2.4億~2.5億ドルに下方修正した。新会計基準ASC606を導入したことに加え、主にスマートフォン用に材料需要が低迷することが影響する。

7~9月期の業績は増収増益

 18年7~9月期の業績は、売上高が前年同期比26%増の7755万ドル、営業利益は同65%増の2603万ドルだった。売上高7755万ドルのうち、材料の売上高は同9%増の5124万ドルと大きくは伸びず、ロイヤルティー&ライセンス収入の増加が増収の牽引役となった。

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 材料売上高5124万ドルのうち、黄緑色を含む緑色発光材料の売上高は同9%増の3540万ドル、赤色発光材料の売上高は同7%増の1460万ドルだった。期末在庫は6903万ドルとなり、前四半期末の5604万ドルから大幅に増加した。

受注低迷で通期見通しを下方修正

 通期見通しを下方修正したことにより、UDCの10~12月期の売上高は6300万~7300万ドルとなり、前年同期の1.16億ドルから大幅な減収になりそうだ。同社は「18年夏は受注が大きく伸びたが、9月から徐々にスローダウンし始め、10月も減少した。この傾向は年末まで続きそうだ。主にスマートフォン向けだ」と説明しており、有機EL各社の生産は当面低調に推移しそうだ。

 なお参考までに、従来の会計基準ASC605で換算すると、18年の通年売上高は3.15億~3,25億ドルになるという(17年の売上高は3.36億ドル)。

 UDCの主要顧客であるサムスンは、7~9月期のディスプレー売上高の約8割を有機ELが占めた。8兆ウォン程度だったとみられる。4~6月期は6割後半を占め、売上高3.9兆ウォン前後だったとみられるため、一気に倍増した。アップルをはじめとする主要顧客向けにフレキシブル有機ELの出荷が伸びた。10~12月期も引き続きフレキシブル有機ELの堅調な需要が続くと述べていたが、ここ最近のアップルの減産報道やUDCの材料受注を見る限り、大きな伸びは期待できなさそうだ。

新ラインの稼働で19年は需要増を期待

 UDCでは19年にパネル各社の生産ラインが新規に立ち上がることで、有機ELの生産能力は17年末に比べて1.5倍に拡大するとみており、材料需要も大幅に増加すると見込んでいる。新規に本格稼働が見込まれるラインとして、LGディスプレーの韓国・坡州工場E6ラインおよび中国・広州の8.5G工場、中国BOEの6G綿陽工場などがある。

 これに加え、サムスンが次世代テレビ用パネルとして量子ドット有機EL(QD-OLED)を開発していることに触れ、「QD-OLEDは青色有機ELを量子ドットで赤色や緑色に変換する」と述べ、燐光青色発光材料への期待が高いことを匂わせた。

 ちなみに、有機ELの青色発光材料には現在、第1世代と呼ばれる蛍光材料が採用されており、出光興産などが大手。燐光の青色発光材料は開発途上で、UDCは実用化の時期をまだ明言していない。最近では、九州大学発ベンチャーのKyuluxが第4世代技術と呼ばれるハイパーフルオレッセンスで画期的な開発成果を上げている。

 UDCは他の研究開発テーマとして、ガスを用いたインクジェットで低分子材料を成膜するOVJP(Organic Vapor Jet Printing)技術の開発を加速している。18年7~9月期に新たな試験用プロトタイプ装置の第1号チャンバーを導入したが、19年1~3月期末にもチャンバーを追加する予定で、さらに技術開発のスピードを上げていく。

電子デバイス産業新聞 編集長 津村 明宏

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ニュースレター

津村 明宏

1995年3月 関西大学 経済学部卒。1999年3月 ㈱産業タイムズ社に入社。
電子デバイス業界の専門紙である電子デバイス産業新聞(旧・半導体産業新聞)の記者として、2007年より副編集長、2009年12月より編集長