6月13日(金)は年金支給日です。2025年度の年金額は前年度から1.9%の増額が決定しており、6月支給分から「年金が増える」ことになりますが、物価の上昇には追い付いていないため、実質的には「増えた」とはいえません。

それでも、前回より年金額が増えるわけですが、いまのシニア世代は仮に貯蓄がゼロでも年金だけで生活できる状況にあるのでしょうか。

今回は、シニア世代の年金生活を「貯蓄額・年金額・生活費」から覗いていきます。

1. 【老後の貯蓄事情】70歳代・二人以上世帯の「平均貯蓄額」はいくら?

金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」を参考に、70歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)がどのくらいかを見ていきましょう。

なお、貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 【70歳代・二人以上世帯】平均貯蓄額・貯蓄割合をチェック

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)

70歳代・二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2024年」をもとにLIMO編集部作成

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19%
  • 無回答:3.5%
     
  • 平均:1923万円
  • 中央値:800万円

70歳代以上の2人以上世帯の平均貯蓄額は約1923万円となっていますが、この数字は一部の富裕層の高額貯蓄によって押し上げられたものです。

中央値でみると約800万円と大きく下がるため、現実的な貯蓄の目安はこのあたりと考えられます。

また、3000万円以上の資産を持つ世帯は全体の19%にのぼる一方で、金融資産を一切保有していない「貯蓄ゼロ世帯」も20.8%と高い割合を示しています。

このように、70歳代世帯の貯蓄状況は大きくばらついており、退職金の有無、相続状況、健康状態、世帯構成など多様な要因が影響していることがうかがえます。

特に貯蓄が少ない世帯では、年金だけでなく、働く収入や資産運用による収入確保が生活を支えるうえで重要になるでしょう。

次章では、厚生労働省の資料を基に、現役シニア世代がどの程度の年金(厚生年金・国民年金)を受給しているのかを詳しく見ていきます。