6月は年金の支給月でした。公的年金は2カ月に1回の支給のため、7月には年金の振込はありません。1回の支給で2カ月分がまとめて振り込まれる仕組みのため、老後の家計管理は現役時代よりも複雑になりがちです。

現役時代とリタイア後の生活スタイルは大きく異なります。そのため、いざというときに備えて、できるだけ多くの資産を準備しておくことが大切です。

本記事では、70歳代の夫婦世帯における貯蓄額、年金受給額、生活費の平均値を紹介します。加えて、老後に必要となる可能性がある医療費や介護費用についても詳しく見ていきましょう。

1. 【70歳代】貯蓄額の平均・中央値はいくら?《二人以上世帯》

金融経済教育推進機構(J-FREC)が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」をもとに、70歳代・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)を見ていきます。

※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

1.1 【70歳代】二人以上世帯の平均貯蓄額・中央値はいくら?貯蓄額階層別の世帯割合も!

70歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額は1923万円。中央値は800万円となっており、平均額が一部の富裕層世帯の貯蓄額により引き上げられていることがわかります。

貯蓄額階層別の世帯割合より、70歳代の実際の貯蓄額がどれくらいかを見てみましょう。

  • 金融資産非保有:20.8%
  • 100万円未満:5.4%
  • 100~200万円未満:4.9%
  • 200~300万円未満:3.4%
  • 300~400万円未満:3.7%
  • 400~500万円未満:2.3%
  • 500~700万円未満:4.9%
  • 700~1000万円未満:6.4%
  • 1000~1500万円未満:10.2%
  • 1500~2000万円未満:6.6%
  • 2000~3000万円未満:8.9%
  • 3000万円以上:19.0%
  • 無回答:3.5%

70歳代。すでに貯蓄の取り崩しが始まっている世帯もあるでしょう。

金融資産非保有、つまり貯蓄ゼロの世帯が20.8%を占めています。

なお、本データの「金融資産」は、将来のために備えている預貯金のほか、投資信託や債券、株式、生命保険などの金融資産残高が含まれます。

貯蓄ゼロの世帯については、最低限の生活費を公的年金でカバーできている、もしくは、勤労収入や子ども世帯からの仕送りなど、何かしらの収入を得ているのかもしれません。

では、いまのシニア世代の年金受給額は月額どれくらいなのでしょうか。

次章で、厚生年金と国民年金に分けて、年金額を確認していきます。