近年、かなりの人気を見せるイベントとなったハロウィン。2018年も東京・渋谷を中心として、各地で大盛り上がりとなりましたが、一方で、暴徒化する人々など、さまざまな問題が浮上しています。ハロウィンが終わったいま、あらためて何が起こり、どういった問題があったのか、まとめてみました。

日本のハロウィンのこれまで

ハロウィンとはそもそも、毎年10月31日に秋の収穫を祝い、悪霊を払う、アイルランドの祭りが起源とされています。現在では、仮装をした子どもたちが、近所の家々を練り歩いてお菓子をもらうなどする民間行事として、アメリカで根づいているほか、ここ10年ほどでヨーロッパ各国でも習慣化しているようです。

日本でも、1997年前後から東京ディズニーランドで催されたイベントや企業のキャンペーンなどにより、ハロウィンが行事として広まってきました。

そして6年ほど前からは、ハロウィン前の週末やハロウィン当日に渋谷駅前に若者が集まる、通称「渋ハロ」が大きな注目を集めるなどしています。

治安が日に日に悪化!?

渋谷区でのハロウィンでは、過去にも、ゴミの不法投棄をはじめとした違法行為や、数々のマナーのなっていない行為が問題視されてきました。そうした経緯を踏まえ、渋谷区は事前に、ビン入りアルコール飲料の販売を控えるよう周辺店舗へ要請したり、終電前の帰宅を促すなどの対策を講じました。

しかし、そのような対策も虚しく、器物損壊や痴漢、盗撮などの事件が相次ぎ、逮捕者が出る騒ぎとなりました。

10月28日の午前1時ごろには、群衆が軽トラックを横倒しにし、その上に乗った男性が周囲を煽るような様子がインターネット上に投稿されたほか、券売機に水が流し込まれるなどの行為もあったようです。

炎上待ったなしのハロウィン当日

こうした騒ぎは、ハロウィン当日の10月31日を待たずして続出し、当日を前に渋谷区の長谷部健区長が緊急声明を発表するまでの事態になりました。そして31日当日には、平日の夜にもかかわらず、およそ1万4000人もの人が渋谷周辺に集まっていたと見られます。終電後も路上で飲み会が開かれ、あちこちでケンカも起こるなど、バカ騒ぎが未明まで続きました。

TwitterなどのSNS上では、こういった騒動に対して、

「世も末だ」
「ルールを守れない人はハロウィンに参加する資格なし」
「ただ騒ぎたいだけの東京近辺の馬鹿が集まる見本市」
「こいつらの9割は10年前はハロウィンなんて聞いたこともなかっただろ」
「渋谷のハロウィンは撲滅すべきだ」

と憤る声もあります。また、「西成暴動のようだ」と、大阪・西成で1960・70年代を中心に続いていた日雇い労働者による暴動に様子を重ね、そのひどさを嘆く投稿も多数ありました。

フランスでは暴動も!

また、フランスでも、ハロウィン当日に暴動が起き、逮捕者が多数出るなど、今年の渋谷ハロウィンよりもさらに過激な騒ぎとなったようです。この報道を受けて、「渋谷も放っておけば来年こうなってもおかしくない」と危惧する声もありました。

対策や規制を求める意見が多くある中、11月1日、長谷部区長は「イベントの有料化など、予算を投じた対策を行いたい」と述べ、あらためて憤りを示しました。

一方で、11月1日早朝の渋谷駅前では、自主的に集まった人々がゴミ拾いを行うなど、マナーを守りながら楽しもうとする人が多数いたのも確かです。また、「知らない人と話したりして写真を撮れるのは楽しい」「渋谷のハロウィンの仮装を見るのが毎年楽しみ」などと、肯定的にハロウィンを振り返る声もあります。

ほかにも、地味な仮装をして人々が集う「地味ハロウィン」というイベントが開催されたり、神奈川県の川崎市や東京都の吉祥寺で開催されるイベントでは、親子がハロウィンを楽しんだりなど、地域振興につながっている例もあります。

心ない人たちによる過激化にどう備えるか

年々、楽しむ人が増える一方で、過激さを増していくハロウィンイベント。あくまでモラルを守って楽しく過ごしたいと考える大半の人たちの思いが、一部の考えなしの人々によって無下にされているのが現状です。

特に渋谷のハロウィンは主催者がおらず、規制が難しいのも事実ですが、自治体や警察の対策も含めて、来年どうなるかにも注目したいところです。

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