総務省が2025年4月25日に発表した4月の東京都区部の消費者物価指数(CPI、中旬速報値、2020年=100)によると、変動の大きい生鮮食品を除く総合が110.0と、前年同月比で3.4%上昇しました。
内訳を見てみると、電気代、都市ガス代などの上昇幅が拡大したことや、生鮮食品を除く食料の上昇幅が影響を与えているようです。
都区部の中旬速報値は全国の先行指標とされています。価格の高騰は全国共通の悩みとも言えます。
特に年金生活者にとっては、限られた収入内でのやりくりに頭を悩ませていることでしょう。
そこで今回は、65歳以上のおひとりさまがどのような暮らしをしているのかを、収支・貯蓄・年金額のデータから明らかにしていきましょう。
実は、今年度の年金額が少し増額することをご存じでしょうか。
昨今続く物価上昇による影響がありますが、それと同時に年金額も増額となるのは嬉しいことです。具体的な年金受給額も見ていきます。
1. 【おひとりさまのリアル】65歳以上の無職世帯「ひと月の家計収支」食費や光熱費はいくら?
2025年3月11日、総務省統計局は「家計調査報告 家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」を公表しました。
ここから、65歳以上の単身無職世帯のひと月の家計収支データをのぞいてみましょう。
毎月の実収入:13万4116円
■うち社会保障給付(主に年金)12万1629円
毎月の支出:16万1933円
■うち消費支出:14万9286円
- 食料:4万2085円
- 住居:1万2693円
- 光熱・水道:1万4490円
- 家具・家事用品:6596円
- 被服及び履物:3385円
- 保健医療:8640円
- 交通・通信:1万4935円
- 教育:15円
- 教養娯楽:1万5492円
- その他の消費支出:3万0956円
- 諸雑費:1万3409円
- 交際費:1万6460円
- 仕送り金:1059円
■うち非消費支出:1万2647円
- 直接税:6585円
- 社会保険料:6001円
65歳以上《単身》無職世帯の家計は…
- ひと月の赤字:2万7817円
- エンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合):28.2%
- 平均消費性向(可処分所得に対する消費支出の割合):122.9%
この単身世帯の場合、支出の合計は16万1933円。そのうち社会保険料や税などの「非消費支出」が1万2647円、消費支出が14万9286円です。
一方で、ひと月の収入は13万4116円で、その約9割(12万1629円)を主に公的年金が占めます。なおエンゲル係数は28.2%、平均消費性向は122.9%となりました。結果として、毎月2万7817円の赤字となっています。
1.1 65歳以上「家計収支データ」の意外な盲点
上記で紹介した家計調査には、いくつか留意すべき点があります。
まず、支出の内訳に「介護費用」がない点。そして、高齢者世帯は持ち家率が高いことから住居費も1万円台と低めとなっている点です。
健康状態や住まいの状態などに応じて、上乗せの出費を想定しながら備えておく必要もあるでしょう。
また「非消費支出」にある通り、老後も税金や社会保険料の支払いは続きます。これらが年金からの天引きとなることが多い点も知っておきたいポイントの一つと言えるでしょう。
65歳以降の無職世帯が赤字をカバーする方法としては、貯蓄の取り崩し、不労所得などで不足分をカバーしていくと考えられます。ただしいずれも世帯差・個人差があるため、老後の家計に必ず組み込める世帯ばかりではありません。
そこで次では、より確実な老後の収入源となる、老齢年金について見ていきます。