4. 【年金生活者支援給付金】申請手続きが必須です
年金生活者支援給付金を受け取るためには、公的年金とは別の請求手続きがあります。
ここからは、年金生活者支援給付金の手続き方法について「これから年金を新規請求する人」と「すでに年金を受給中の人」の2つのパターンで解説します。
4.1 【パターン1】老齢年金を新たに請求する人の申請方法
これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が届きます。
同封された給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。
4.2 【パターン2】すでに年金を受給中の人の申請方法
すでに年金を受給中の人でも、所得が下がったことで年金生活者支援給付金の対象となるケースがあります。
このケースの場合、毎年9月1日以降、順次年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が送付されます。請求書の太枠内を記入し、郵便ポストに投函すれば手続きできます。
なお、すでに年金を受け取っている方の中でも、繰上げ受給をしている場合は書類の様式が異なるため注意しましょう。
「年金生活者支援給付金」は、近年しばしば実施される「住民税非課税世帯対象の給付金」などの一時的な支援とは異なり、受給要件を満たす限り継続して受け取れる支援です。
一度手続きを行えば、その後の毎年の手続きは不要です。なお、継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。
給付額が改定されると「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が、支給要件を満たさなくなった場合には「年金生活者支援給付金不該当通知書」が届きます。
4.3 【豆知識】給付金が受け取れない3つのケース&自筆で書けない人はどうすれば?
ただし、下記3つのいずれかに当てはまる場合、年金機構からの申請書類が届いた人であっても、給付金は支給されません。
- 日本国内に住所がないとき
- 年金が全額支給停止のとき
- 刑事施設等に拘禁されているとき
また、認知症や闘病中、目の見えない方など、自分で書くことが難しい場合は、代理人などの代筆で氏名などを記入することにより、請求手続きが可能です。
5. まとめにかえて
ここまで年金生活者支援給付金について詳しく見てきました。
申請方法や、給付金を受け取れないケースなどにも触れていますので、ぜひ参考になさってください。支給対象となった場合は、しっかり手続きをおこない、しっかり活用しましょう。
ただしこうした支援だけで家計を改善することは難しいかもしれません。現役世代の方であれば、今のうちから「年金を増やす工夫」や「年金だけに頼らない資産形成」について考えていけると良いですね。
6. 【豆知識】厚生年金に加入していない人向け《2年でモトが取れる》国民年金を増やす方法
先述の通り、国民年金のみを受け取る場合の受給額は、厚生年金と比較してもだいぶ少なめです。働き方の多様化がすすむいま、厚生年金に加入しないフリーランスや自営業の方なども増えています。
国民年金の受給額を増やす方法のうち、今回は比較的手軽にできる「付加保険料の納付」についてご紹介します。
6.1 付加保険料の納付
定額の国民年金保険料(2025年度は1万7510円)に「付加保険料(月額400円)」を上乗せで支払うことで、将来の年金額を増やすことができるしくみです。
付加保険料を納付できる人
- 国民年金第1号被保険者
- 65歳未満の任意加入被保険者
付加保険料を納付できない人
- 国民年金保険料の納付を免除されている人(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)
- 国民年金基金の加入員である人
個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は同時に加入することができますが、個人型確定拠出年金の納付額によっては併用ができない場合があります。
付加保険料を「20歳~60歳の40年間」納付した場合
65歳以降に受け取れる「付加年金額」は「200円×付加保険料納付月数」です。20歳から60歳の40年間、付加保険料を納付した場合を計算してみましょう。
- 40年間に納付した付加保険料の総額:19万2000円(400円×480カ月)
- 65歳以降に受け取れる付加年金額(年間):9万6000円(200円×480カ月)
毎年の年金受給額に9万6000円が上乗せされます。40年間に納付した付加保険料は19万2000円なので、2年でもとが取れる計算になります。
会社員等で厚生年金に加入しながら副業(複業)している場合を除き、20歳から60歳までの自営業・フリーランスなどの人は国民年金の加入対象です。
7. ※ご参考※厚生年金の平均年金月額《1歳刻み&全体》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:9万6492円
- 61歳:10万317円
- 62歳:6万3244円
- 63歳:6万5313円
- 64歳:8万1700円
- 65歳:14万5876円
- 66歳:14万8285円
- 67歳:14万9205円
- 68歳:14万7862円
- 69歳:14万5960円
- 70歳:14万4773円
- 71歳:14万3521円
- 72歳:14万2248円
- 73歳:14万4251円
- 74歳:14万7684円
- 75歳:14万7455円
- 76歳:14万7152円
- 77歳:14万7070円
- 78歳:14万9232円
- 79歳:14万9883円
- 80歳:15万1580円
- 81歳:15万3834円
- 82歳:15万6103円
- 83歳:15万8631円
- 84歳:16万59円
- 85歳:16万1684円
- 86歳:16万1870円
- 87歳:16万2514円
- 88歳:16万3198円
- 89歳:16万2841円
- 90歳以上:16万721円
60歳~90歳以上の全受給者
- 全体平均:14万6429円
- 男性平均:16万6606円
- 女性平均:10万7200円
8. ※ご参考※国民年金の平均年金月額《1歳刻み&全体》
60歳~90歳以上(1歳刻み)
- 60歳:4万3638円
- 61歳:4万4663円
- 62歳:4万3477円
- 63歳:4万5035円
- 64歳:4万6053円
- 65歳:5万9599円
- 66歳:5万9510円
- 67歳:5万9475円
- 68歳:5万9194円
- 69歳:5万8972円
- 70歳:5万8956円
- 71歳:5万8569円
- 72歳:5万8429円
- 73歳:5万8220円
- 74歳:5万8070円
- 75歳:5万7973円
- 76歳:5万7774円
- 77歳:5万7561円
- 78歳:5万7119円
- 79歳:5万7078円
- 80歳:5万6736円
- 81歳:5万6487円
- 82歳:5万6351円
- 83歳:5万8112円
- 84歳:5万7879円
- 85歳:5万7693円
- 86歳:5万7685円
- 87歳:5万7244円
- 88歳:5万7076円
- 89歳:5万6796円
- 90歳以上:5万3621円
60歳~90歳以上の全受給者
- 全体平均:5万7584円
- 男性平均:5万9965円
- 女性平均:5万5777円
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金の概要」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします~年金額は前年度から 1.9%の引上げです~」
- 日本年金機構「老齢年金の請求手続き」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
筒井 亮鳳