9. 年金が少ない場合は「年金生活者支援給付金制度」の対象となる場合も
「年金生活者支援給付金制度」は、公的年金等の収入が一定水準以下の方を対象に、年金に上乗せして給付金を支給する制度です。
「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」を受給している方が対象となり、それぞれに支給要件が設けられています。
例えば、老齢年金生活者支援給付金の支給要件と給付基準額は以下のとおりです。
【支給要件】
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は88万7700円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれません。
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で78万9300円を超え88万9300円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で78万7700円を超え88万7700円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。
【2025年度の給付基準額】
5450円(前年度比+140円)
ただし、上記の支給要件を満たしていても、申請しなければ給付は受け取れません。必ず申請手続きを行いましょう。
10. まとめにかえて
厚生年金で「月17万円以上」を受け取っている方は全体の約3割強にすぎず、年金だけで生活している世帯も4割程度にとどまっています。
年金の平均額や支出額を見ても、「公的年金だけでは足りない」という現実がおわかりになったのではないでしょうか。
だからこそ、現役で働いているうちから、老後に向けて準備を始めておくことが重要です。
iDeCoやNISAなどを活用した資産形成も視野に入れつつ、自分に合った方法を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「2023(令和5)年 国民生活基礎調査の概況」
- 総務省統計局「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」
加藤 聖人